Dionne Warwick 「Here Where There Is Love」(1966)

 名曲ぞろいなA面のバカラック曲集が味わい深い。B面はごった煮だ。

 年末発売で、スタジオ作としてはちょうど1年ぶり。R&B1位、全米18位でディオンヌ・ワーウィック初のゴールド・ディスクな大ヒットとなった。
 全10曲と少なめ、ただし収録時間が長いでもない。中途半端な。
 ジャケットからディオンヌの顔は消え、海辺でキスするカップルのシルエットに。よりBGM的なアプローチのマーケティングで拡販を狙ったか。
 
 バカラック&デイヴィッドのプロデュースは変わらず。6曲が彼らの作品で、A面がバカラック集、B面トップに名曲"Alfie"を置く。そのあとはカバー集で、最後にディランの"風に吹かれて"を置くという。何とも迷走気味の構成だ。どこにディオンヌは行きたく、バカラックらはどこを目指していたのだろう。

 バカラックのオリジナル曲もディオンヌはカバー的な位置づけが強い。せっかくの座付き歌手の立場なのに、もったいない。

 A面のセンチメンタルで甘い雰囲気のバカラック曲集が、本盤で美味しく味わえる。
 (2)は名曲。ディオンヌは最初、提供時に断ったそう。そういう選択肢は許される自由度があったんだ。単なる歌手ではなかったみたい。
 65年にジャッキー・デシャノンが大ヒットさせる。そして翌年にディオンヌも、やっぱり本盤で歌うという、ちょっとひよったとこをみせてる。
 (3)はダスティ・スプリングフィールドが65年にヒットをカバー。もともとはTommy Huntがリーバー&ストラーのプロデュースで62年に製作した。このときバカラックはアレンジと指揮を担当。だがヒットしなかった。人のヒット曲を、バカラックがディオンヌ使って再ヒットって企画か。
 (5)もビリー・J・クレイマー&ダコタスの65年ヒット曲を、ディオンヌがカバーの構図だ。

 B面はごった煮な仕上がり。
(6)はソニー・ロリンズが音楽監督を務めたイギリスの同名映画のテーマ曲。この映画で主題歌を歌ったのはディオンヌでなく、シェールだが。
 ロリンズもこの映画にまつわるアルバム"Alfie"を当時、リリースした。
http://tel1400.blog.fc2.com/blog-entry-700.html
 オリジナルの持ち歌って立場なら、シラ・ブラックらしい。ただしディオンヌの持ち歌もヒットはして、68年のグラミー賞で女性ボーカル部門にノミネートはされた。素直でなくアメリカ音楽業界という、狭くもないが閉鎖的な世界で持ち上げ回しっぽいなあ。

 本盤のテイクはストリングスを風雅に飛ばして、思いっきりスイートに仕上げた。そのままピアノ・ジャズ風のアレンジでミュージカル"オリバー!"(1960)の曲(7)へ。しみじみとディオンヌは歌う。

 (8)で再び弦がふっくら鳴った。シャンソンの"Que reste-t-il de nos amours ?"(1942)のカバーだ。あまりディオンヌは喉を張らずしとやかなムードへ。こういうキャラクターの変えっぷりは歌唱力のなせるワザ。

 (9)はオルガン・コンボのジャジーなアレンジ。本盤で他の作家が書き下ろしかな。詳しいことは分からない。作曲はB. Leeman, R. Druz, R. Leeman。

 ディランの(10)は明るいポップス風に解釈され、ストリングスやホルンなどホーン隊が柔らかく飾る。プロテスト性を消して、コード進行もおしゃれに転調する(10)のカバーに何の意味があるのか、よくわからない。単純にヒット曲をカバーして売れ線を狙うって芸能界的な発想と思うけれど。

 深く考えず、BGMのポップ・アルバムには向いている。

Track listing:
1. Go With Love 2:47
2. What The World Needs Now Is Love 3:14
3. I Just Don't Know What To Do With Myself 3:50
4. Here, Where There Is Love 2:30
5. Trains And Boats And Planes 2:46
6. Alfie 2:43
7. As Long As He Needs Me 2:50
8. I Wish You Love 2:49
9. (I Never Knew) What You Were Up To 2:40
10. Blowing In The Wind 2:19

 

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