Dionne Warwick 「Here I Am」(1965)

 名曲"Don't Go Breaking My Heart"を収録がポイント。ジャズ寄りな大人のポップス・アルバムと聴こえてしまう。B面はソフト・ロックとしても聴けるか。

 前作から10か月ぶり、年末に発売された5thアルバム。
 なお同じ12月に封切りの007映画"サンダーボール作戦"主題歌、"Mr. Kiss Kiss Bang Bang"をディオンヌは吹きこんでいる。もとはシャーリー・バッシーが録音するも、なぜか歌手変更の企画があったらしい。ところが結局はプロデューサーの意向でボツ。
 ずっとお蔵入りが、"ジェームズ・ボンド 30周年記念アルバム"で発掘発売された。
 
 本盤もバカラック&デイヴィッドがプロデュース、ほとんどをバカラックが作曲、アレンジの路線も変わらないが。統一性のないチグハグな構成も、1stから変わらない。
 (5)(6)(12)はスタンダードで他人の曲。アルバムのバランスが優先か。組合とかの絡みで、全曲バカラック作品はダメって制限でもあったのかな?
 ディオンヌがデビューからずっと所属のセプター・レーベルで、彼女はこのころシレルズと並び稼ぎ頭だったろうに。

 さらに(5)と(6)はアレンジもOwen B. Masingillが担当した。彼の経歴は不明だが、50~60年代に活躍したNYの黒人男性シンガーRoy Hamiltonの楽曲でクレジットがあった。
 ちなみにディオンヌは音大時代にピアノを副専攻で取った杵柄として(3)と(6)では、ピアノも弾いてるそうだ。

 本盤からのシングルは(2)(4)(10)。(3)が(10)のB面。前作発表後に切ったシングルをまとめて、年末に本盤でアルバム化して発売って構図だろう。
 今までのアルバムで、一番売れた。全米チャート45位、R&Bでは3位を獲得。
 
 いちばんの売りは(2)。ウディ・アレンの映画"何かいいことないか子猫チャン(What's New,Pussycat?)"のサントラをバカラックが務め、(2)がフィーチュアされた。シングルとしては全米65位と振るわなかったが。


 と、エピソードを書き連ねるだけで行数は膨らむ。しかし音楽的にはするすると流れてしまった。A面は保守的にゴージャスな歌ものアルバムに仕上がって、スリルも華もない。瑕疵もないけれど。
 ジャジーなポップスとしてうまい歌を披露するし、ハイトーンを思い切りぶつけるパワフルなとこも魅せるけれど、飾り立てられすぎかな。
 冒頭に書いた(7)こそが、本盤の華。ロジャー・ニコルス&スモール・サークル・オブ・フレンズが本年の3年後、68年のアルバムで素敵なカバーを聴かせてくれた。そのオリジナルが、これ。

 これを筆頭にLPでいうB面は、今だと違う観点で聴けなくもない。
 ゴージャスさとコンボのシンプルなダイナミクスも生かしたアレンジで、小粋なソフト・ロック集って視点で。
 本盤の味わいはメロウな路線のため、ハーモニーなど和音的な楽しみよりメロディアスな楽曲に魅力が寄っている。ボーカル盤として夾雑物を入れず、ディオンヌの歌声を前面にきれいに出した。
 アルバム最後をカバーでしめるため、バカラック集としてB面を価値づけるにはちょっと中途半端だが。

Track listing:
1. In Between The Heartaches 2:50
2. Here I Am 2:50
3. If I Ever Make You Cry 3:07
4. Lookin' With My Eyes 2:55
5. Once In A Lifetime 2:54
6. This Little Light 2:10
7. Don't Go Breaking My Heart 2:21
8. Window Wishing 2:31
9. Long Day, Short Night 2:18
10. Are You There (With Another Girl) 2:50
11. How Can I Hurt You 2:42
12. I Love You Porgy 1:45

 

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