Dionne Warwick 「Make Way for Dionne Warwick」(1964)

 上り調子でディオンヌの歌い方が堂々として、アルバムの完成度も増す。ヒット曲連発の迫力?1~3rdまでなら、この盤がまず、お薦め。

 同年"Walk On By"ヒットの勢いか。同年2月に発売の前LPから、8月末とわずか半年後に3rdアルバムの本盤が発表された。アルバムの視線は前作よりちょっと大人びた印象。スリルやソウルフルさは控え、白人マーケット向けの穏やかな風景なマーケティング戦略は変わらない。
 
 この年、12月に"Beatles for Sale"が発売される。すなわちまだ、マーケットの雰囲気はシングル中心の時代ではないか。購買層的にファミリーで安心して楽しめる風景を狙っていそう。とはいえ当時の北米芸能界における、ディオンヌ・ワーウィックの立ち位置はまったくわからない。大人向けかなあ?ティーンも狙っていそうだが。
 本盤は全米68位、R&Bチャートで10位のヒットとなった。

 バカラックとデイヴィッドのコンビでプロデュースは本盤も変わらない。そのわりに全12曲中、(2)(11)(12)の3曲は他人の曲。なぜ自作で固めない?LPのメリハリを狙ってか。なにもアルバム最終曲の重要なスペースを、ゴフィン&キング曲に任せなくたって。ライバルに塩を送るようなもんではないの。そこまでギスギスしておらず、鷹揚な時代だったのかなあ。
 そして(9)は1年前の1stから、同じテイクを使い回し。大ざっぱで売らんかなの時代風景からしてしかたないけど、なんだかなあ。

 メロディに色気があり、どの曲も楽しく聴ける。
 サウンドはスタジオ・ミュージシャンに弦を足す、芸能界な作り。けれどもリズムに色気があり、華やかさがひときわあり。録音技術の向上で音にツヤが出たのも理由ながら。 収録の全12曲は全米No.1の(6)(8)以外に(1)(7)もシングルで小ヒット。前述のように(9)は使い回しで63年のシングル。当時はチャート外だが。

 さらに70年にカーペンターズが大ヒットを飛ばす(3)を、本盤でディオンヌが歌っている。Discogsによると、さらにオリジナルは63年のRichard Chamberlainかな。シングル"Blue Guitar"のB面で本曲を吹きこんだ。ディオンヌはその次くらいにこの歌を歌ったみたい。
 今はYoutubeでこういうレアテイクもあっさり聴けるのが嬉しい。Richard Chamberlain版はこちら。


 なおWikiによると(11)はシレルズが62年に録音を、ディオンヌの歌に差し替えという。DiscogsだとLP "Swing The Most"(1965)に収録でシングルは記載ないけれど。
 シレルズのバージョンはこちら。動画だが別にこの歌を歌ってるわけじゃ無い。

 ちなみに(11)はバカラックの曲ではない。なぜ本盤に入れたのか。シレルズがらみ云々の何かがあったのか。

 もっともこの選曲にディオンヌの意思がどの程度あったのやら。まだ、アルバムから受ける印象はプロデューサーの言うままに歌う人形っぽさが抜けない。
 ディオンヌはバカラックの作品再生工場なり拡販役を想定されてた気もしてきた。持ち前の歌唱力でバカラックの曲をいかに魅力的に見せ、新たにカバーさせる気にさせ印税狙い、もしくはもちろんヒット曲として市場から売り上げを図るとか。

 自分の個性や趣味を主張する歌手像、にすっかり慣れた今の価値観では素直に本盤をディオンヌの視点で評価できない。歌のうまさ、キュートさとダイナミックに喉を張る両面のニュアンスを兼ね備えたテクニックは確かながら。
 
Track listing:
1. A House Is Not A Home
2. People
3. They Long To Be Close To You
4. The Last One To Be Loved
5. Land Of Make Believe
6. Reach Out For Me
7. You'll Never Get To Heaven
8. Walk On By
9. Whishin' And Hopin'
10. I Smiled Yestreday
11. Get Rid Of Him
12. Make The Night A Little Longer

 

関連記事

コメント

非公開コメント