Dionne Warwick 「Anyone Who Had a Heart」(1964)

 前作から1年後の発売。ちょっとアルバムの完成度が上がった。

 ポップス集として悪くないが、今ひとつ焦点が掴みづらかった前作に比べて、本作は溌剌さを増した。コンボ編成に弦を足した豪華な仕上がりは、ジャジーなポップの域を出てはいないけど。
 楽曲のみずみずしさや、前作より少し精神年齢を下げたティーン向けのポップスに仕立てたためか、スリルを抑えて親しみやすさに軸足を置いた。前作同様、本盤もバカラック&デイヴィッドのプロデュース。

 ディオンヌの歌よりも、自らの楽曲を歌いこなす歌手、と捉えたプロダクションな感はぬぐえない。粗製乱造っぽさも、ほんのり漂う。
 全12曲中、(3)(4)(11)は前アルバムから同じテイクを使い回し。発売から1年たってるのに。予算回収ってことか。(3)(11)はシングル曲でもあり、購買意欲そそる狙いもあったはず。

 このころはまだシングル中心のマーケットなはず。アルバムは統一感とメリハリの両立程度を意識してまとめました、くらいでコンセプトを立てるって概念はなかったろう。  (1)のヒット余勢でアルバムもでっちあげました、くらいかも。

 ヒットソング・チームなバカラック&デイヴィッドのプロダクションにもかかわらず、12曲中5曲と約半分が、別の作曲家による作品を採用。つまりまだ、アルバムとしては中途半端な仕上がりだ。
 残り7曲中3曲が前述のとおり使い回し。すなわち4曲がバカラック曲をディオンヌが新たに歌った。
 オールディーズに詳しくなく、この4曲が書き下ろしかどうかは分からない。

 シングルは前年に全米8位のヒットな、タイトル曲(1)のみ。本盤のあとに発表するヒット曲"Walk On By"(1964)のB面で(7)を発表とかはあるけれど。

 アルバム全体のサウンドは悪くない。コンボ編成を前面に出して、あっさり仕上げた。弦は味付けで無闇に跳ねない。ティーン向けに瑞々しさ狙いか。
 
 ディオンヌの歌い方は、むしろ前作より堂々としてる。ポップスをしっとり歌い、持ち前の多様なニュアンス使いわけで、飽きさせない。
 ティーン向ながら、保守的でスリルを控えた世界観。ソウルフルさは抑え、平和で無邪気な白人中流層マーケット狙いか。安心して聴け、なおかつ華やかな雰囲気を内包した。

 バカラックの楽曲としては、ドラマティックさが強調の(7)が今は気に入ってる。(12)のちょっとおごそかな雰囲気も良いな。

 

Track listing:
1. Anyone Who Had A Heart 3:11
2. Shall I Tell Her 2:33
3. Don't Make Me Over 2:46
4. I Cry Alone 2:37
5. Getting Ready For The Heartbreak 2:30
6. Oh Lord, What Are You Doing To Me 3:14
7. Any Old Time Of Day 3:08
8. Mr. Heartbreak 2:33
9. Put Yourself In My Place 2:20
10. I Could Make You Mine 2:25
11. This Empty Place 2:55
12. Please Make Him Love Me 2:33

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