Mind & Matter 「1514 Oliver Avenue (Basement)」(2013)

 ジャム&ルイスのジミー・ジャムが18歳のみぎりに作った音源集。猛烈な才能を感じた。

 早熟の天才はプリンスだけじゃない。プリンスの一歳年下、ジミー・ジャムが18歳の頃に作ってたバンド、マインド&マターの発掘音源集が2013年に出てた。驚異的なのは、その完成度。整いっぷりがハンパじゃない。普通に聴いてたら、何の違和感もない70年代ソウル集と聴けた。
 驚いてじっくり耳を傾けると、稚拙だ。演奏も歌唱も。しかしBGMで聴く分には、何の危うさもない。
 このきれいにまとめるセンスは素晴らしい。のちにプロデューサー業で一時代を築いたのが、深くうなずける。
 プリンスは一切関与してないが、せっかくなのでプリンスのカテゴリーで投稿する。

 ジミー・ジャムの才能は、なんていうかな、破綻無く綺麗にまとめることだ。そう簡単にできることじゃない。どっか、破綻したり跳ね上がったりするのが若い時分にはあること。だがここでは、ニューヨーク、シカゴ、フィリーとさまざまな要素を曲ごとに使い分ける器用さと、スタイルを取り入れてまとめた秀逸さがあった。

 ホーンやストリングス音源はシンセでも代用するミネアポリス流のサウンド。若い時分にそんな予算は無いってのも含めて。逆に言うと力任せなファンクに走らず、洗練されたソウルを志向してる。

 本盤に収録は9曲。すべて当時に未発表だ。当時は委細不明のレーベルM&Mから、I'm Under Your Spell / Sunshine Ladyの7"のみリリース歴あり。なおこの2曲は本盤へ未収録、プリンスがらみの若手を集めた2枚組コンピ、"Purple Snow"で聴ける。


 本盤の音源は、よく残ってたよな。テープ劣化の音質だが、それは愛嬌というもの。売れないスイート・ソウル集としても聴ける。つまり楽曲ごとの統一性は無く、がらがらとアレンジや音楽性は変わる。リズムは下手くそだし、歌もひっくり返ったりハーモニーが甘いとこあり。
 けれども、きれいにぱっと聴いたらまとまってる。アレンジのさりげないセンス、構成力ゆえだろう。

 バンドメンバーはサックス持ち替えが一人いるけれど、3リズムに鍵盤3人とパーカッション、ボーカル4人の編成だ。そんなに分厚く聴こえない曲もあり、曲によってメンバーが違うのかも。ほとんどの曲がジャムの作曲。逆にカバーは一曲もない。オリジナル志向でパーティ・バンドとは明確に一線を引き、デビュー狙いとよくわかる。
 ファンクっぽさもあるが、むしろディスコに寄ってる。素直にヒット曲へ影響を受け、キャッチーなメロディを作曲して華やかにまとめた。

 収録された音源はどれもたぶん77年頃の録音。完成度は凄い。きちんと予算とってスタジオ・ミュージシャンで固めたら、すぐさまヒット曲ができそうだ。逆に自分の歌唱力で勝負できなかったゆえに、プリンスほど早熟デビューが叶わなかった。

 このあとジャムは、テリー・ルイスの在籍するFlyte Tymeと合体し、本盤の数年後にThe Timeで81年にデビューする。このときは少なくともアルバムだと、プリンスの傀儡だった。
 しかしジャムの才能は張りぼてじゃない。ジャム&ルイスを結成し怒涛の快進撃を行う。

Track listing:
1. No One Else Can Do It To Me Baby
2. The Wonder Of It All
3. My Love Is Like A Fire
4. I Don't Know Why (I Love You Like I Do)
5. Disco Child
6. When You're Touching Me
7. Would Be Mine
8. Virgin Lady
9. Now That I Don't Have You

Personnel
Electric Piano [Fender Rhodes], Clavinet [Hohner], Electric Piano [Hohner Pianet], Synthesizer [Roland SH-1000] – James Harris III

Tenor Vocals [First], Vocals [Falsetto] – Turhan Bey
Tenor Vocals [Second] – Everett "Jawanza" Pettiford
Alto Vocals – Glenny "Ittiim" Hardge
Baritone Vocals – Lawrence "Sabu" Brown

Guitar – Rodney Clark
Bass – Joe Ray
Drums – Don Turner
Electric Piano [Fender Rhodes], Organ [Hammond B2] – Gary McCray
Percussion – Barry Dillard
Saxophone, Electric Piano [Wurlitzer] – Troy Williams

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