Bruckner 「Symphony No. 9:Solti/Chicago Symphony Orchestra」(1986)

 精巧にして重厚、鋭利で熱い演奏が楽しめる名盤。

 ブルックナーの遺作で未完成に終わった交響曲9番を、ショルティがシカゴ響で振った一枚。久しぶりに聴いたら、強烈な響きと賑やかに押し寄せる凄みにしびれた。
 あまり独自の解釈をせず、素直に演奏した。なおかつ金管が爽快に吼え、明るいったら無い。弦と木管の滑らかな響きはスマートで、洗練されている。むしろドライなほど。
 情感に流れず怒涛の勢いながら、正確でぴしっと締まった演奏だ。

 この曲は2楽章での畳みかける凄みが良い。この盤を大ボリュームで聴くと、降り注ぐ音圧にしびれた。
 もちろん力任せにとどまらず、第三楽章などでは美しくも太く引き絞った弦の美しさを堪能できる。

 これは86年の演奏。ショルティはブルックナーを一通り振っており、96年に10枚組の全集ボックスが出てる。今ならこの盤を入手が手っ取り早いかもしれないな。MP3でも発売あり。
  

 Wikiによるとブルックナーの生まれはベートーベンが第九を、シューベルトが弦楽四重奏『死と乙女』を作曲した年。この楽曲は72歳で亡くなった1896年に書かれた。クラシックは作曲時代感がピンとこないが、元号でいうと明治29年。ピンとくる?
 
 この交響曲は4楽章中3楽章まで書かれた。生前にブルックナーは「終楽章が未完なら、自作の"テ・デウム"を代わりに」と言ってたらしい。"テ・デウム"は亡くなる12年前の1884年に書いた宗教合唱曲だ。今までさんざん言われてきたことだが、ベートーベン第九を意識して、のシャレかも。実際には楽想などに共通項無く、ブルックナーの第九とはつながらないらしいが。
 
 "テ・デウム"も貼っておこう。78年にカラヤンがウィーン・フィルを振った動画。


 本楽曲の解説はWikiに詳しい。面白かったのが改訂の歴史。終楽章が無いため、補作の試みは1983年のキャラガン版を筆頭に幾度も行われた。
 最新だとキャラガン自身が2010年に再改定、コールスが2011年に補作版を発表してる。あんがい最近、いまだに色々と行われてる。クラシックと言えど、まだ終わっていない。

 ブルックナーが残した第三楽章まででも、一時間を超える充分に大作だ。ショルティの本盤でも一時間チョイ越え。けっこう素早くやってる印象なのに。
 冒頭は静かに始まり、取っつきは悪いかもしれない。変な話、第二楽章を先に聴いたら、普段クラシックに触れない人も楽しめるのでは。邪道ではあるが、何も畏まって聴かなくたっていい。そのあと、興味出たらきちんと聴けばいい。

 第二楽章も貼っておこう。ちょっとモッサリ。ショルティはもっと激しく爽快に振っている。
 これは78年にカラヤンが降ったウィーン・フィルの動画。


 第二楽章だけ切り取った動画がいくつもあるな。これは極端に遅いテンポ。面白かったので貼ってみる。ぼくの好みでは、やっぱり本エントリで上げた、ショルティの歯切れよさだが。ミュンヘン・フィル演奏で、指揮はチェリビダッケ。うーん、いかにも。旋律をたっぷりと歌わせている。

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