Violent Femmes 「Violent Femmes」(1983)

 パンクよりもカントリー寄り、ネオロカビリーやサイコビリーな一枚。

 たまたま聴いた一枚。面白かった。こういう音楽、リアルタイムで聴きそびれると耳にする機会はない。そもそもパンクって興味なく、食指をふだんは伸ばさないし。

 ヴァイオレント・ファムズがどの程度、日本で知名度あるのか全く知らない。ぼくは今回、恥ずかしながら初めて知った。
 ウィスコンシン州ミルウォーキーのポスト・パンクバンドだそう。80年に活動をはじめ、解散をいったんしたが13年に再結成、今も活動という。

 この盤は正直、演奏がへたくそ。がったがたに揺れている。ガレージ・パンク、いや田舎でのフォーク・パンクって位置づけらしい。ただ、演奏が妙にアコースティックな耳ざわりのため、ロカビリーっぽさが先に立つ。
 どったんばったんと杭打ちドラムに、淡々としたベース。スラップ奏法など使わぬところが、パンクなスタイルか。野太い弦のギターと、のどかなハーモニーのセンス、そして奇妙にポップなメロディ。甲高く喉を震わせるノベルティっぽさも含めて、50年代のマイナーなロカビリーかと思った。
 ザクザク刻む曲ですら、も。エレキギターかき鳴らしはディストーション効かせた汚しでなく、古めかしいR&Bの香りがする。

 本盤は1st。83年と言えばプリンスの"1999",TOTOの"Africa",マイケル・ジャクソン"Beat It"なんかがこの年。エレクトロ・ポップが流行る直前か。アズテック・カメラの1st"High Land, Hard Rain"もこの年だけど。やっぱ年代で強引にくくるのは難しいか。でもまあ、イギリス勢が押し寄せてくる直前ってのは間違ってないはず。Culture Clubの"君は完璧さ"もこの年だ。

 そんな明るく能天気なムードが広がる一方で、パンクといえどもこういう古めかしい50年代志向なバンドもあったんだな。
 吐き捨てる歌い方はパンクの影響だろう。その一方で(9)でマディ・ウォーターズ"I Just Want to Make Love to You"の歌詞を取り入れるあたり、過去のブルーズを意識してなかったはずもない。
 破壊衝動を世をすねるひねくれた絶望より、もっとシンプルな若さに任せるパワーと、過去の音楽資産を生かした方向性に結び付ける。そんな本盤の嗜好が面白かった。

 当時のライブ風景がこちら。でも立ってドラムセット叩くあたり、やっぱストレイ・キャッツに影響のネオロカビリーや、サイコビリーの系譜に見える。


 02年にライノがデモやライブ入れた2枚組の20周年盤をリリース、他にも11年に5枚組で初期の5枚をまとめた廉価Boxが発売されてる。今買うなら、これらかな。
 

Track listing:
1. Blister in the Sun  2:25
2. Kiss Off  2:56
3. Please Do Not Go  4:15
4. Add It Up  4:44
5. Confessions  5:32
6. Prove My Love  2:39
7. Promise  2:49
8. To the Kill  4:01
9. Gone Daddy Gone" 3:06
10. Good Feeling" 3:52

Personnel:
Victor DeLorenzo - snare drum, tranceaphone, drum set, Scotch marching bass drum, vocals
Gordon Gano - guitar, violin, lead vocals
Brian Ritchie - acoustic bass guitar, xylophone, electric bass guitar, vocals

Mark Van Hecke - production; piano on "Good Feeling"
Luke W. Midkiff - percussion on "Kiss Off"

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