John McLaughlin 「Devotion」(1970)

 ジミヘンへの敬愛を素直に表現したサイケ・フュージョン。

 ジャズ、とは言い難い。スイング感よりロックな味わいが強い。ジャズ・ロックでもいいが、ちょっとビート性に欠ける。敢えてジャンル分けをするなら、クロスオーバーかな、と。
 
 マクラフリンの2ndでメンバーはジミヘンつながりのバディ・マイルス(ds)、ジミとも共演歴ありBuddy Miles Expressのメンバーなビリー・リッチ(b)、そしてラリー・ヤング(org)のカルテット編成で録音された。
 ヤングが唐突にも見える。マイルスの"ビッチェズ・ブリュー"つながりと思うが、なぜジミにオルガン?ファンクネスを求めたのかも。ザヴィヌルやチック・コリアだとジャズ寄りが強調されるし、上品すぎる、と。
 この人選はマクラフリンの意向もあると思うが、プロデューサーのアラン・ダグラスも関与してるっぽい。

 本盤を覆うのはモコモコッとした空気感。どたばたに畳みかけるドラムが賑やかに鳴り、もわっとオルガンが充満する。エレキギターも派手に暴れた。主役はギターであり、オルガンやドラムは明らかに背後にミックスだけれど。
 それでもギターは音像そのものに負けている。エコーがふんだんに施され、ドラッギーに揺れる。残響がたっぷり、広がりも山ほど。ディレイもバリバリ。
 サイケな風景へ強引にアルバムははめ込まれた。

 もっとドライなトーンでミックスしたら、ギターの鋭さをシンプルに楽しめるアルバムになったろう。だが強烈なポスト・プロダクションが本盤をジミヘン・フォロワーな世界へ押し込めた。英Wikiにはダグラスの仕業だ、と零すマクラフリンのコメントが載っている。一方で典拠なマクラフリンの公式Webでは既に、その文章が消されてる。大人げない、と思ったのかも。
 まあとにかく、時代と力関係と若さゆえのミックスではあるようだ。

 しかしドライなトーンでは、ぶっちゃけなところ粗削りすぎだったのではとも思う。
 リッチのドラムはハエ叩きのように鋭く重たいが、野暮ったい。リッチのベースも芯を喰うがモタリ気味。
 リズム隊に華とシャープさが無く、音像を何とも沈ませてる。思い切りオルガンを唸らせるヤングの仕事は面白いが。

 だからB級路線といえ、ここまで極端なミックスで「サイケ風味」って属性が見事に付与された。マクラフリンのギターは鋭いが長いフレーズで魅せるより、勢い一発の炸裂感が本盤では強い。もちろん指は素早く回るが、ディストーションの歪みで断片的な疾走にとどまっている。

 楽曲も妙に中途半端。フェイド・アウトは良いとしても、いきなり曲中から始まり盛り上がりなく続く場面もあり。すべてマクラフリンのオリジナル曲とあるが、長回しのセッションから切り取って曲にまとめたかのよう。マイルスのスタイルを真似したってことはないと思うが。

 クリアな音だと、凡百のC級ギター・ジャズロックが精いっぱい。それがB級にまで昇格が、プロデューサー力だと敢えて言いたくなった。ヘンテコなアルバムだ。
 ぐるり一周して、奇妙な魅力を持っている。

 オリジナルのジャケットがカッコいいと思うが、出回るCDやMP3は別写真。MP3は曲順まで違う。
  
Tracks
1. Devotion  11:25
2. Dragon Song  4:13
3. Marbles  4:05
4. Siren  5:55
5. Don't Let the Dragon Eat Your Mother  5:18
6. Purpose of When  4:45

Personnel:
John McLaughlin - electric guitar
Buddy Miles - drums, percussion
Larry Young - organ, electric piano
Billy Rich - bass guitar


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