TZ 8332:Mycale "Gomory: The Book of Angels Vol. 25"(2015)

 違う編成ごとにアルバムを作り、第二期Masada"The Book of Angels"の316曲を演奏のシリーズ。第25弾はアカペラの女性4人組。

 MycaleはVol.13に続く"The Book of Angels"へ再登場。あまり収録曲がかぶらないシリーズなのに、ここから(1)(4)はVol.28、(5)がVol.27、(6)(7)(10)はVol.29にて、本盤発表後にいくつもの曲が再演されている。
 
 歌詞は誰が書いたか不明だが、ポルトガル語、ベルベル語、ヘブライ語、フランス語にスペイン語と様々な言語を使ってるそう。このメンバーで他にTZADIKでアルバムは無く、ジョン・ゾーンが企画したカルテットと思われる。Ayelet Rose Gottlieb (イスラエル), Sofia Rei (アルゼンチン) Malika Zarra (モロッコ)Sara Serpa (ポルトガル) とメンバーの国籍も多彩だ。

 メンバーのTZADIKで参加状況を見てみよう。
 ソロ作でいうとAyelet Rose Gottliebで"Mayim Rabim"(2006)が発売あるくらい。

 Sofia Reiは"The Song Project Vinyl Singles Edition"(2014)や"The Song Project Live at Le Poisson Rouge"(2015)に"Forro Zinho"(2015)と、ゾーンの近作に参加してる。
 Malika Zarraは本盤以外に参加なく、Sara SerpaはTZADIKの作曲家シリーズでAya Nishina"Flora"(2013)に参加のみ。本ユニット以外でTZAIDKとの絡みは希薄だ。

 ここにゾーンがMycaleを結成した経緯が書かれている。
http://ayeletrose.com/site/454
 TZADIKとも縁のあるユダヤ系で米の歌手Basya Schechterと、ギタリストのJon Madoffの間でAnakimと名付けられたプロジェクトを、ゾーンが気に入って膨らませて、ユニットMycale結成まで煮詰めたという。
 
 歌唱は非常にテクニカルかつ整然で、たぶんすべてが譜面。ソロ回しの構図でなく、対位的にそれぞれの歌が絡み合う。歌詞のみならずスキャットや変わった声も取り入れ、現代音楽っぽいアプローチ。清涼で玄妙な雰囲気で、なおかつ整った演奏が並ぶ。
 宗教的な荘厳さもうっすら漂い。寛いだBGMより少し緊張もしくは畏まった雰囲気だ。

 ゾーンの現代音楽にある極端に実験的なアプローチは無く、厳粛な堅苦しさも少ないがファルセット多用の部分は背筋伸ばして聴いてしまう。
 マサダのジャズ的なダイナミズムより、情感をきちんと整えた計算づくのセンチメンタリズムにどこまで馴染めるかで本盤の評価は変わる。

 場面ごとにころころ変わる音楽ムード、アカペラのわりにリズミックなノリ、ジャズ・ボーカルから抜けたテクニカルなハーモニーを楽しめる盤だ。
 グルーヴィさが綺麗すぎるきらいはある。でも多国籍の異文化混淆による、複雑で混沌な世界観は楽しい。雑味を消し去り、鮮やかな清らかさで描かれた。

Track listing:
1. Uzziel
2. Ahaha
3. El El
4. Tehom
5. Moloch
6. Balam
7. Melech
8. Tarshish
9. Asaph
10. Rumiel
11. Natiel

Personnel:
Ayelet Rose Gottlieb: Voice
Sofia Rei Koutsovitis: Voice
Basya Schecter: Voice
Malika Zarra: Voice


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