Space Machine 「Orbit Vector Generator」(2003)

 充満しても隙間を残す、濃密だが光を通す。非日常だが日常の隙を漂わせる。そんな、空気の音楽だ。

 マゾンナの山崎マゾはSpace Machine名義で00年初期に何枚もの電子音楽ノイズ作品をリリースした。これもそんな一枚。マゾンナでの激しいステージ・アクションとは別次元にノイズを追求した。
 本盤はカリフォルニアのp-tapesレーベルから発売の3"CDシングル・シリーズの一枚。他には、以下3枚がそれぞれ500枚限定でリリースされた。
2004 "Dimension Degenerator"
2005 "Zone Of Avoidance"
2005 "Space-Time Echo" 

 本盤も同じく500枚限定。音源は03年4月30日に大阪北堀江のカフェ、フュテュロで録音された。ライブBGMセッションとクレジットある。ライブの合間にBGMとして流されたものか。
 オーディエンス録音で、食器の音や会話の音もふんだんに聴こえる。シンセのドローン中心な音楽の裏、もしくは表で店員と観客のノイズがみっしりと入る。
 音楽が主体と思わせて、SEのような店内ノイズのほうが主と思える瞬間すらあり。

 特にストーリーや構成は無い。山崎のシンセと、河端一のギターが産む持続する高音が、18分間延々と続く。生演奏だが、観客は息をひそめ音楽に集中してる様子はない。
 文字通り普通に、雑然とした店内の音が続く。何を言ってるかまで聴き取れないけれど。

 非日常の電子音ドローンは8:55でいきなり途切れる。もっと深くざらついたシンセの音に切り替わった。閃くロングトーンも聴こえるため、その場で二人が演奏を切り替えたのかもしれない。
 個々の響きはキュートだ。高音が伸び、可愛らしく鳴る。だが幾層にも重なった瞬間、不穏なノイズに変わる。オーディエンス録音ならではの、ざらついた音質が空気を妖しく塗る。
 そして数分後には、いつしか冒頭と似たスペイシーな電子音へ戻った。

 あえてPAを通さず、空間ごと封じ込める録音形式を採用したのは、あらゆるものをノイズへ例えるスタンスの表れか。
 押しつけがましくない。しかしボリュームを上げてると聴き流すには主張の強い電子音だ。

Track listing:
1.Orbit Vector Generator 18:18
 
Personnel:
山崎マゾ:electronics
河端一:guitar

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