Dionne Warwick 「Promises, Promises」(1968)

 より大人っぽいポップス歌手へ見事に着替えた一枚。凄く綺麗に整ってる。

 11thスタジオ作で、怒涛のリリース・ラッシュな68年を締める11月に発売された。
 プロデュースはバカラック&デイビッドで変わらず。堅実でなおかつ楽曲の世代感がより大人っぽくなった。
 ポップスからポピュラー・ソングへ。このニュアンスの違いって日本語でしかわからんか。子供向けから大人に客層を変えたイメージが、本盤から伝わってくる。

 バカラックのオリジナルは(1)(2)(5)(6)(8)と約半分。だが本盤に不満はない。美味しいとこをバカラック曲が押さえてるのと、本盤は"ディオンヌ・ワーウィック"のアルバム、ってムードがひしひしするからだ。
 ディオンヌはここで歌手として存在感を出し、決してお仕着せ人形って感じじゃない。しかもアルバムが単なる寄せ集めじゃない。コンセプトは「いい歌を集めた」って趣き。
 冒険心はどこかへ置き、心地よいジャジーな歌を集めた。滑らかな歌い回しはそのままに、わずかにかすれるニュアンスや声の置き方にソウルフルさも滲ませた。
 高い完成度の仕上がりだ。この数年間、ディオンヌはアルバムを出すたびに、ゴスペルアルバムも含めて、毎回一皮むけてる。

 逆に。バカラックは既に本盤で、ディオンヌを単に歌手の一人と位置付けてる気がする。ディオンヌのために曲を書かず、自分の書いた曲をついでに上手く歌ってくれる人って位置付けてるような。
 
 同年にバカラックとデイビッドが書いたミュージカル、"Promises,Promises"からタイトル曲を含む3曲(1、6,8)。同年4月にハープ・アルバートへ書いた(2)。
 (5)はディオンヌへのバカラック書き下ろし、かな。他はスタンダード曲でまとめた。
 
 バカラックがアレンジは(1)(5)(6)のみ。あとはドン・セベスキーが(2)(4)(8)、ピーター・マッツが(4)(7)(9)(10)と、アレンジにもバカラックの関与度合いが目に見えて下がってる。

 ディオンヌの歌は上手い。ここではビブラートをきれいに操り、ムーディでほんのり色気ある世界を滑らかに表現した。破綻無いきれいな世界だ。
 ゴージャスな弦のアンサンブルに守られ、闇や影、迷いや危うさは皆無。きれいに整って華やかで鮮やかな世界を見事に作ってる。

 そう、何らかのスリルを求めるには本盤は物足りない。よくできたボーカル・アルバムとは思う。出来だけなら"Valley Of The Dolls"より、ずっといい。
 ただし人間臭さは変な話、どこにもない。プラスティックに飾られた風景だ。作り物っぽさが満載。

 でも、そうはいっても、ディオンヌの歌はうまい。かすれ気味な声が出す、大人っぽさは過去の盤に無かった新しい魅力だ。

Track listing:
1. Promises, Promises 2:57
2. This Girl's in Love with You 4:13
3. Little Green Apples 3:55
4. Where Is Love? 2:48
5. Who Is Gonna Love Me 3:11
6. Whoever You Are, I Love You 3:18
7. Where Am I Going? 2:05
8. Wanting Things 2:22
9. Lonely in My Heart 2:56
10. Yesterday I Heard the Rain 2:43

 

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