Peril 「Peril」(1992)

 コラージュとノイズを取り入れたが、不思議と肉体感あるロックだ。

 大友良英が参加して、92~96年に活動したオーストラリアのバンド。3枚のアルバムを残したがAmazonのマーケットプレイスでは出てこない。中古盤に出るのを地道に探すしかない。って、めったに出てこない盤ながら。
 活動当時はどんな動きをしてたか不明。この当時はライブハウスシーンに興味を持っていなかったからな。存在も、残念ながら知らなかった。

【Discography】
1992 Peril
1993 Multiverse
1994 Astro
 
 ちなみに加藤は1stで脱退、大友も2ndで脱退みたい。それぞれ次の盤にはクレジットが無い。ただしネットで出回る95年2/21のDemocrazy ( aka the wafflehouse )Ghentのライブ・ブート音源では、大友のクレジットがある。なおかつターンテーブルのの操作も聴こえるため、たまたま94年に大友が不参加ということか。

 Perilは大友に興味持って聴いてしまったが、リーダーはThe NeckのTony Buck。豪州フリージャズでは重要な人物だ。なお本盤発表時点ですでにThe Neckは"Sex"(1989),"Next"(1990)を始動させていた。

 Perilにはのちにグラウンド・ゼロに参加する加藤英樹も参加した。あとはギタリストのMichael Sheridanによる4人組の編成となる。
 Youtubeに本盤の発表当時、豪のテレビ局SBSへ出演したライブ映像が残ってた。なんと貴重な。


 フリージャズというよりパンキッシュなアプローチ。だが破壊衝動や破滅的なロックとも違う。鋭くて分裂風のサウンドながら、即興へ軸足置いて地に足の着いたサウンドだ。NYのクレイマーたちみたいなスカムや、ドラッギーな不健康さやでたらめさはない。あくまでまじめに音楽へ向かい合いつつ、でたらめに炸裂させる勢いがあり。

 (7)~(10)はライブ・テイク。(7)は豪メルボルンのABC-FM番組"Jim Mcleod's Jazztrack"、(8)~(10)は渋谷BEAMでの録音となる。
 他の曲も(1)~(4)と(6)がメルボルン、(5)が東京での録音。日本組と豪州組の活動に合わせ収録した音源を集めた盤のようだ。

 アナログな高速断片サンプリングをまき散らす、大友のターンテーブル。ランダムなビートをタイトに決めるバックスのドラム。
 ベースとギターは暴れながらも、知性を感じさせる。どちらかと言えばギターが弾きまくり、ベースは落ち着いてるかな。

 ノイジーな音が溢れ、奔放なサンプリングが飛び交うけれど。コラージュの断片が乱れ飛ぶけれど。不思議ととっ散らかった混沌感は少ない。
 いや、楽曲的な構成や構造はほぼ皆無だし、無国籍で無秩序なサウンドではある。けれども妙な一体感、グルーヴが産まれている。ドラムとベースが生み出す芯の太い流れと、上物の二人が疾走するさまに一体感あるせいだろう。

 ジャンルでいえばロック、かな。エイトビートを軸にフリーな瞬間が溢れる。
 清々しくてかっこいい、興味深いアルバムだ。今聴くと、高速テープ操作みたいなスピード感は時代を感じる。サンプリングが発達して、ブレイクビーツの機械化が進んだから、テンポの揺れがアナログだからだ。
 だからこそ、本盤での人力で剛腕な勢いは凄みと迫力を備えた説得力を持つ。

 隠しトラックの(11)はまさにテープ・コラージュな小品。豪州と日本のテレビ・コマーシャルやラジオ・ジングルなどをめちゃくちゃに混ぜた。最後でユーモラスに淀川長治が締めた。

Track listing:
1. Kiken 0:44
2. Exchange Rate 4:36
3. Gold 7:00
4. Peril 2:26
5. Lurch 4:28
6. Accidentally Hoddle St 4:07
7. Rotor Syndrome 4:46
8. 50 - 144 1:47
9. Free-Rock 3:28
10. Left Of Centre 6:10
11. Untitled 1:36

Personnel;
Producer, Arranged By, Artwork [Cover Art By] - Tony Buck
Drums, Sampler [Samples], Noises [Machines] - Tony Buck
Bass, Voice - 加藤英樹
Guitar - Michael Sheridan
Turntables, Guitar, Tape - 大友良英

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