Massive Attack 「Blue Lines」(1991)

 後付けの屁理屈が頭に浮かぶ。本盤はリアルタイムで聴きたかったな。

 トリップ・ホップって名前は知ってたけど、定義はよくわからず。たまたまYoutubeでトリップ・ホップのインスト集を聴いてて、興味持った。けだるくて気持ちいいな、と。


 ブリストル発祥の音楽と言われ、ヒップホップをベースのサウンド。アブストラクト・ヒップホップとも呼ばれ、マスコミ主導で作られたジャンルらしい。マッシヴ・アタックやポーティスヘッドが始祖とされるが、本人たちは好まないカテゴライズとある。
 なお始祖が本盤、マッシヴ・アタックの"Blue Lines"。もう25年も前か。

 この当時に僕がよく聴いてたのは黒人音楽のボーカル・グループや、60年代のソフト・ロック。作りこまれて、アメリカンな香りがする音楽に興味あった。
 雑誌でマッシヴ・アタックやポーティスヘッドの名前は知ってたが、興味を持つには至らず。エレクトロで沈鬱そうな音楽だな、と思う程度。結局今まで聴かなかった。こういう音楽だったのか。

 今の耳で聴くと、陰りのあるヒップホップを下敷きにした英国ポップと感じる。雑多なジャンルを混ぜたブレイク・ビーツだが、根底はポピュラー音楽であり、ヒップホップのダンサブルさとはだいぶ違う。
 確かにクラブ仕様のBGMに似合うが、大音量で大騒ぎよりは、薄暗いフロアでゆっくり身体を動かすのが似合いそう。かといってチル・アウトほど寛げる要素が無い。もっと緊張した、不安をあおる空気あり。

 とはいえそれは全部、後付けの感想だ。25年前に初めて本盤を聴いたら、衝撃受けたろう。確かにヒップホップのビートだが、なんだか重たい。ケミカルな作り物っぽいうさん臭さと、にじみ出るそっけなさに斬新さを感じた・・・か、もしくは何だかわからず放ってたかもしれないな。

 こういう音楽はぱっと聴いても感情的に咀嚼できない。思い切り理論武装してカテゴライズした知識から分類し取捨選択で解釈するか、フロアで体感にリズムや雰囲気をしみこませて親近感を覚えるか。どっちかと思う。そして後者はぼくの生活パターンから今も昔もありえない。だからたぶん25年前に本盤聴いても、ダメだったかも。
 
 本盤は全編、歌ものだ。リズムに女性ボーカルとレゲエの風味が溶けていく。青白く細い空気と、乾いたビートは確かに英国風味かもしれない。閉塞感がうっすら漂い、どこか理性で縛る。どよんと陰った空気があり。
 アメリカの能天気で開放感とは別ベクトルであり、コミュニケーション不全の内省さとも違う。根本的に本盤へ漂うのは、崩れそうな危うさと、決して破綻しない強固な世界観だ。

 アメリカの雑多で、ある種暴力的なサンプリング文化を下敷きにしながら、なんとも重苦しい雰囲気が漂う。それは例えば、エレクトロなエイトビートにオーケストラを足し、背後でうっすらと女性ボーカルを配置するセンス。
 つまり電気仕掛けと伝統と肉感性を強引に混ぜ合わせる、価値観を解体し突き抜けを図る強引な志向。マッチョな力でねじ伏せず、異物の混交を理知的に行う。
 本来は快楽志向で直感的なダンス・ビートを作るためなのに。そんな意図を想像した。

 マッシヴ・アタックはユニットであり、グラント・マーシャル(ダディ・G)、ロバート・デル・ナジャ(3D)、アンドリュー・ヴォウルズ(マッシュルーム)の3人がメンバー。
 本盤がデビュー作であり、Horace Andy、Shara Nelson、Tony Bryanのボーカリストをフィーチュアした。

 全般的に救いがない盤に聴こえるが、最終曲の"Hymn Of The Big Wheel"に漂う、うっすら希望もたせる響きに惹かれた。

Track listing:
1. Safe From Harm 5:18
2. One Love 4:48
3. Blue Lines 4:21
4. Be Thankful For What You've Got 4:09
5. Five Man Army 6:04
6. Unfinished Sympathy 5:08
7. Daydreaming 4:14
8. Lately 4:26
9. Hymn Of The Big Wheel 6:36

Personnel:
Massive Attack - Andrew Vowles, Grant Marshall, Robert Del Naja

Producer, Mixed By - Jonny Dollar, Massive Attack
Arranged By Neneh Cherry (tracks: 9)
Arranged By [Strings], Conductor [Strings] Wil Malone (tracks: 6)
Backing Vocals - Mikey General (tracks: 9)
Bass - Paul Johnson (tracks: 3)
Vocals - Horace Andy (tracks: 2, 5, 9), Massive Attack (tracks: 3, 5, 7), Shara Nelson (tracks: 1, 6 to 8), Tony Bryan (tracks: 4)


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