Traffic Jam (1984)【Prince未発表曲】

 "Purple Rain"プロジェクトから零れ落ちた、インストのロック寄りなファンク。

 ディレイで響く奥行きある響きのシンセ・スネア。ストリングスやホーン音色を無造作に使い、ふわっと沈むシンセの響き。いぎたない鳴りのシンセ・ベース。そして歪みながら伸びやかに進むエレキギター。
 まさに"Purple Rain"時代の音だ。バンドっぽいグルーヴが一杯だけど、実際はプリンスの多重録音らしい。
 
 メロディ構成はシンプル。数音のメロディと変形させたフレーズ。それが延々と繰り返される。だが、めっちゃカッコいい。デモ、ではある。公式発表された楽曲に比べたら、単純に過ぎる。
 けれどもメロディを弾く楽器を変え、やがて旋律もフェイクさせ混沌に進むアレンジは、じわじわと惹かれる。

 多重録音としたら、どういう順で録音したんだろう。メロディはギターや鍵盤まで、くるくると変わっていく。すべて計算づくで録音していったのか、どんどんと前の音を聴きながら足していったのか。録音過程を凄く知りたい。
 緻密な構成を、どうやってプリンスは多重録音していったのだろう。

 実際、ミックスも録って出しではない。終盤でエレキギターが左右をちょっとパンしたり、多少は卓で意識的にミックスされてる。ならばデモでなく、作品としてプリンスはこの曲を構想してたのか。

 そして本曲の魅力は終盤にもある。聴きおぼえあるはず。"When Doves Cry"にて。Prince Vaultによれば、この曲の数日後に"When Doves Cry"が録音されたそうな。
 ならばかなり"Purple Rain"プロジェクトも佳境な時期。プリンスは何を考えながら、シンプルで歌は無いがリード楽器がくるくると入れ替わる、この曲を録音してたのだろう。

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