Rough (1980)【Prince未発表曲】

 シンプルな2ビートのファンク。

 プリンスの未発表曲音源を二種類に大別するとしたら。なぜ未発表か謎な完成度の高いものと、スケッチやアイディア・メモみたいな曲に。本曲は後者になる。ビートとメロディを作り、膨らませる前みたいな感じだ。

 リズム・ボックスが規則正しく鳴り、スクラッチみたいな音がハイハット代わりになる。薄く鍵盤が足されて、うっすらとベース・ラインもあり。ギターめいたフレーズもときおりあり。
 
 メイン・ボーカルは語りっぽく歌われる。しっかりメロディはあるけれど、プリンス独特の粘っこくひねるスキャット風の旋律だ。だが思い付きに留まらず、きっちりハーモニーも足された。メインの線の細い歌声を軸にしながらも、場面ごとでユニゾンもしくは上下に音域足してハモってくる。

 サビのフレーズを思いつき、とりあえず平歌を付けたってシンプルさではない。アレンジこそ簡素だがしっかり楽曲として仕上げた。

 さらに恐るべきは中間部でブレイクするところ。デモっぽく思わせて、きっちり展開する手の込んだところあり。リズム構成が減り、それ以降のドラムが急に生演奏に聴こえる。
 じっさいこれはキック以外はプリンスの杭打ちドラムかもしれない。ときおりフィルが入るドラムは、その部分だけ妙に肉感的だ。特に中盤から後半にかけてほとんどの音が消え、ドラムが頻繁にオカズを入れる。エイトビートながら2ビート風にリズムは淡々とクールなファンクネスを魅せた。

 Prince Vaultによれば79年から約1年住んだ場所に作ったWayzata Home Studioで、80年6月に録音とある。"Dirty Mind"の録音場所で、本盤のアウトテイクにあたる。
 84年にはThe Familyに提供も考えたがムードに合わずと中止。86年にはジル・ジョーンズの1stに提供候補で再録音まで行われたとある。

 85年に著作権登録もなされた。ブート的にはToo Rough、Tough や Too Toughとも呼ばれる。上にあげた音源はプリンスの声のみで、サックスもないため80年版の録音と思う。

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