The Zombies 「Breathe Out, Breathe In」(2011)

 しぶとく現役感を出すゾンビーズの復活3作目。

 通算で5th。決してスタジオ・アルバムの数は多くない。けれどゾンビーズは懐メロ・バンドに堕さず新曲満載のアルバムを発表した。
 復活の"New World" (1991)から、コリンとロッドのコンビ再結成を踏まえた"As Far as I Can See..." (2004)。前後でライブ・アルバム出してるように、着実にステージを重ね(来日もしてくれた)、ゾンビーズは活動を今も続けてる。
 
 ストーンズは別格として、あとは当時の60年代英国ポップ・バンドはせいぜい営業ドサ回りくらい。でも、現役として新譜を出し続ける稀有のバンドだ。
 実際の客層は当時のゾンビーズを望むファンがほとんど、せいぜいアージェントのファンだろう。けれどステージの盛り上がりに旧曲を使うとしても、ロッドは新曲にもこだわった。ステージやるなら、飽きないようにだろうか。

 メンバーは前作からギターが変わり、Tom Toomeyが参加。トラでなく今に至るもメンバーとして活動してる。彼の唯一のソロがAmazon mp3にあった。


 ベースはアージェントの盟友ジム・ロッドフォード。息子のスティーブ・ロッドフォードがドラムを叩く。シンプルな5人編成のバンドだ。

 本盤収録は基本的にロッドが書き下ろした。1曲だけコリンの(2)が入ってる。
 なお往年のメンバー、クリス・ホワイトはアージェントのカバー(4)と(7)を再演することで、指一本だけ今のゾンビーズに引っかかった。新メンバーのトムも(6)でロッドと共作クレジットあり。完全ワンマンにしないあたり、ロッドの鷹揚さか。プロデュースもロッドが行った。

 楽曲はパワー・ポップ路線。オルガンや鍵盤を目立たせ、プログレっぽい英国風味を漂わせる。甘酸っぱいゾンビーズの色合いをそのままに。力強いロックにしないのは、アレンジのセンスか。スタジアム級の豪快さでなく、コンパクトな太さを狙った。
 スティーリー・ダンに通じるお洒落さもあるが、演奏がグッとラフ。親しみやすさというか、バンド・サウンド狙いと思う。

 本盤で最初に作ったPVはコリンの曲(2)。Wikiによると1961年の活動以来、初めてのPVだそう。モノクロの風景で渋いAOR路線を演出した。サビのきゅっと胸絞る和音感が気持ちいい。

 
 他にスタジオ・ライブ形式で2曲、(1)(5)(6)のPVも残されている。
  

 発売当時にコリンのインタビュー動画も公式にアップあり。

 ゾンビーズに何を求めるか、で本盤の価値は大きく変わる。ぼくは悪くないが、別にいいかなって感じ。

 当然、若かりし頃の溌剌さは老熟になった。どたどたするドラムとオルガンを筆頭のほんのり大仰なアレンジは、緻密で涼やかなハーモニーをもってしても、今一つ古臭い。
 かといって最新鋭のポップスを彼らに求めない。音楽も耳馴染み良い甘酸っぱさを持ってて、悪くない。でもゾンビーズってブランドが無ければ、聴かなくてもいいアルバム。

 だがゾンビーズとして、見た場合はちょっと評価が変わる。61年に活動開始し、別に新曲が無くても良い。
 しかし今も現役で新曲を書き続ける。その姿勢は素敵だ。鍵盤の着実な中世風味やオルガンの60年代っぽさ、みっちり詰まったハーモニー、どっちも独特の色合いを出してる。
 結局、ドラムかな。もう少し軽くタイトな響きでも良かった。

 特に人へ強く薦めはしないが、聴いて損するとも言わない。
 現在進行形のゾンビーズがどんなスタンスか、それを上手く封じ込めたアルバム。

Track listing:
1 . "Breathe Out, Breathe In"  
2 . "Any Other Way"  
3 . "Play It for Real"  
4 . "Shine On Sunshine"  
5 . "Show Me the Way"  
6 . "A Moment in Time"  
7 . "Christmas for the Free"  
8 . "Another Day"  
9 . "I Do Believe"  
10 . "Let It Go"  

Personnel:
Rod Argent: keyboards, vocals, producer
Colin Blunstone: vocals
Jim Rodford: bass guitar, vocals
Steve Rodford: drums
Tom Toomey: guitar



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