Blue Magic 「Blue Magic」(1974)

 甘さへ溌剌とした素朴が魅力なコーラス・グループの1st。

 ブルー・マジックは72年に活動を始めたフィラデルフィアのソウル・グループ。PIRに代表される甘く淑やかなフィリー・ソウルのムードはサウンドの核に持っている。売り出しは独自の活動だが、サウンドの芯はMFSBに通じてる。あまり派手に語られないが、実に気持ちいいソウルだ。
 
 オリジナル・メンバーはTed Mills、Vernon Sawyer, Wendell Sawyer, Keith Beaton, Richard Prattの5人組。Wikiによると結成はビジネス主導だ。元デルフォニックスのランディ・チェインがATCOレーベルに売り込むため、作曲家/シンガーのTed Millsにグループ結成を依頼。
 オーディションのところShaed Of Loveというグループを組んでた他の4人がオーディションに現れ、Toppiksを結成。シングル1枚を発表たのち、グループ名を変えこのブルー・マジック結成に至ったという。

 Toppiksの曲はA面だけYoutubeで聴ける。Ted Millsが作曲にクレジットあり。"Give It A Chance To Grow / Surrender"のシングルでマイナー・レーベルのLarsamから発売された。
 ブルー・マジックに通じるファルセットは聴けるしスイート路線ながら、いくぶんR&B寄りのパワフルさがある。まだコンセプトを絞り込めなかったか。


 本盤は1st。フィリー・ソウルの聖地ってか基本のシグマ・サウンドで録音された。プロデュースのほとんどは、ベテランのノーマン・ハリスを起用。まずシングルで発動をはじめ、(7)をリリースした。B面はアルバム未収録の"Guess Who"。これが全米R&Bチャート30位のヒットとなった。

 続けて(2)/(3)、(5)/"Where Have You Been(アルバム未収録)"と発売。(5)は全米R&Bチャート14位に上がった。
 さらに(1)/(4)を発表、これが全米R&Bチャート10位をしとめ、ミリオン・セラーを獲得する。

 このくらいのタイミングで本盤がリリースに至ったようだ。なお次のシングルは2ndアルバム狙い。Three Ring Circus(2ndに収録)/(6)が出て、B面は本盤から切られてる。
 なお上記のアルバム未収録曲は、再発盤によってはボートラで収録あり。たとえば、このライノ盤には入ってるようだ。

 
 ぼくはブルー・マジックって完全に後追い。最初はラジオで聴いていいなと思い、ベスト盤を買ったのがきっかけだったかな。流れは今回初めて調べたが、着実にシングルを重ねてたんだ。

 改めて本盤収録曲を見ると、全9曲中6曲がシングル既発表。本盤の新曲は(6),(8),(9)。大ヒットをA1に置き、シングル曲を並べて最後に新曲を固める。手堅い構成だったんだ。
 最初に本盤を聴いたとき、やたら妙にまとまってるつくりと思ったが、さもありなん。シングル集のため、場繋ぎは無くきっちり整った曲が揃ってたのか。
 
 興味深いのはリーダーなはずのテッド・ミルズがあまり作曲してないこと。(3),(7),(9)にクレジットあるのみ。デビュー盤こそ自作だが、あとはアル・フィドラーを筆頭にフィラデルフィアの作曲家に発注した曲を歌ってたんだ。

 ミュージシャンはMFSBとATCO系のスタジオ・ミュージシャンが混在のようだ。MFSB系がRon Baker(b),Earl Young(ds),Roland Chambers(g),Larry Washington(per),Ron Kersey(p),Don Renaldo(strings),Vincent Montana, Jr.(Vib)あたりか。
 のちのFat Larry's BandになるLarry James(ds)、Ted Cohen(g)もミュージシャンとして参加した。

 ストリングスの録音がちょっと揺れる危なっかしい響きなのだけを横に置き、あとはしっかりした演奏。
 捨て曲は無い。どれもレベルが高い。シンバルのリズム取りがときどき、荒っぽいくらいか。7分かけてじっくり盛り上げるA面ラストの(4)で高めるところも良い。アルバム全体を通した流れも十分に練られてる。

 アレンジはきっちり甘く整えられた。ふっくらとストリングスが鳴り、演奏もグルーヴィ。ファルセットを的確に使う涼し気な歌声も綺麗だ。でも少し、野暮ったい。なんだろう。歌のピッチか、全体のムードか。
 とはいえ1stはまだ、完成度が高い。2ndになると、急に不安定な気がする。

Track listing:
1. Sideshow 4:06
2. Look Me Up 5:54
3. What's Come Over Me 4:09
4. Just Don't Want To Be Lonely 7:00
5. Stop To Start 3:18
6. Welcome To The Club 5:05
7. Spell 4:15
8. Answer To My Prayer 3:15
9. Tear It Down 5:27

Personnel:
Vocals - Keith Beaton, Richard Pratt, Vernon Sawyer, Wendell Sawyer
Vocals, Piano - Ted Mills
Bass - Jimmy DeJulio, Jimmy Grant, Lee Smith, Ron Baker
Drums - Earl Young, Larry James
Guitar - Bobby Eli, Norman Harris, Roland Chambers, Ted Cohen
Percussion - Larry Washington
Piano - Carlton Kent, Ron Kersey
Strings, Horns - Don Renaldo
Vibraphone - Vincent Montana, Jr.

Arranged By - Norman Harris (1,3,5-7,9), Vince Montana* (2,4,8)
Background Vocals Arranged By - Carl Helm (5,6,8,9), Six Strings Music (1-4,7), WMOT Productions (1-4,7)


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