The Zombies 「New World」(1991)

 22年ぶりの復活ゾンビーズ、第一弾。主導権争いも漂う。

 "Odessey and Oracle" (1968) を発表後に、解散したゾンビーズが91年に唐突な再結成アルバムを出した。権利関係がどうなってたか知らないが、オリジナル・メンバーではないクリス・ホワイトが主導、フロントマンのコリン・ブランストーンを巻き込んで。
 もっともドラムはオリジナル・メンバーのヒュー・グランディ。ある意味、正統な再結成ではある。鍵盤にはメンバーのロッド・アージェントでなく、Sebastian Santa Maria を起用した。

 だがゲストでロッド・アージェントが(6)で参加。ポール・アトキンソンも(1)でギターを弾く。さすがにホワイトの前任者、ポール・アーノルドこそ呼ばないが、疑似的に往年のメンバー全てを揃えたホワイトの手腕はさすがだ。
 けれども本盤をきっかけにじわじわとアージェントとブランストーンが接近、今現在のゾンビーズはアージェントのバンドに切り替わっている。
 ホワイトも既に70歳越えで、そこまでゾンビーズのブランドにガツガツせずリタイアかもしれないが。
 
 Odessey and Oracle (1968) のあと、人間関係がこじれ解散というゾンビーズ。久しぶりの本盤は、彼らの特徴であるメロウさや青白い線の細さを保ったまま、どこか分厚く安っぽいパワー・ポップな味付けが施された。
 単なる懐メロバンドでなく、現役バンドとして活動する道を選んだ。だから試行錯誤かもしれない。本盤を聴いたのはつい最近、そこまで思い入れを持たず冷静に受け止めたけど。なんかアメリカ市場を意識しつつ、中途半端に英国風味とゾンビーズの色を込めた大味さも残念ながら漂う。

 とはいえオリジナル盤はイギリスのみで発表だった。日本だと輸入盤が発達してるのでピンとこないが、アメリカ市場的には不利だったのかも。
 なお03年に英ACEのサブ・レーベルなBig Beatが、78年のデモ2曲ととんでもないおまけ付きで再発した。さらに09年にはリマスターで再発もあり。ジャケット写真がちょっと違う。
 

 オリジナルの全13曲中、ホワイトの作品は3曲のみ。ブランストーンが5曲にクレジットと頑張っている。新メンバーのサンタ=マリアもブランストーンと共作含め4曲と積極関与してる。
 腰砕けが(2)。プリファブ・スプラウトの84年シングルだ。なにもそこまで後輩に敬意を表さなくても・・・。ただし肉厚のマクアルーンの楽曲が、いがいとメロウさでゾンビーズに通底するとこが面白かった。

 全体的なサウンドはけっこうシンセの色が強い。白玉が常に後ろで響いてる感じ。エレキギターが厚み出す場合もあるけれど、どっちにしても暑苦しい。もっとシンプルなアレンジで聴きたかった。
 
 (6)はもちろん、往年の再レコーディング。アージェントと折り合いつける妥協点かもしれないし、オリジナルの雰囲気を壊さぬアレンジを採用してる。とはいえ贅肉はつき、やはりオリジナルには叶わない。

 本盤では繊細な情感を示したサンタ=マリアの(3)や、柔らかなメロディが沁みる(9)あたりが耳に残る。
 パワー・ポップだがキャッチーでコリンの声質にあってる(10)も、ゾンビーズじゃなくアラン・パーソンズ・プロジェクトと思えばアリ、かも。
 終盤にブランストーンの作品が並び、切なさとパワー・ポップの双方がブランストーンの持ち味とよくわかる。

 ホワイトの個性としては、やはり(4)。ボートラで78年時点のデモも収録されてるが、青白いセンチメンタルさって、ホワイトの趣味だとよくわかる佳曲だ。

 たぶんこの時点ではまだ、メンバーの間にしこりが残ってた。それでもゾンビーズのブランドは再駆動し、独特の色合いを漂わす盤が作られた。
 本盤の発表時点では今現在まで、ゾンビーズが生き続けるとは全く予想できなかった。
 ともかくゾンビーズは本盤で、きっちりと若かりし日に落し前をつけ、前を向く姿勢を示した。もろ手を挙げて薦めにくいが、人生の通過点としては重要な作品だろう。

 そして本盤から13年後。"As Far as I Can See..."(2004)でゾンビーズは完全復活する。アージェントがほぼすべてを作曲、コリンがボーカルの体制で。ホワイトはバック・コーラスで参加にとどまってしまった。ポール・アトキンスはA&Rでクレジット。そして本盤を発売直前の04年の春に他界してしまう。

 ついでにその後の動きも。ライブ活動は着実に続け、スタジオ盤では"Breathe Out, Breathe In"(2011)を発表。ホワイトがクレジットから消えてしまう。
 だがゾンビーズはしぶとく生き延びて、現時点では"Still Got That Hunger"(2015)と、さらにアルバムを重ねている。

Track listing:
1. New World (My America) Andy Nye, Chris White
2. When Love Breaks Down Paddy McAloon
3. I Can't Be Wrong Sebastian Santa Maria
4. Lula Lula White
5. Heaven's Gate Nye, White
6. Time of the Season Rod Argent
7. Moonday Morning Dance Santa Maria
8. Blue Santa Maria
9. Nights on Fire Colin Blunstone, Santa Maria
10. Losing You Blunstone, Phil Dennys
11. Alone in Paradise Nye, Blunstone
12. Knowing You Blunstone
13. Love Conquers All Blunstone

Personnel:
Colin Blunstone - vocals
Hugh Grundy - drums
Sebastian Santa Maria - keyboards, guitar
Chris White - bass guitar, vocals

Special guests:
Rod Argent - keyboards on "Time of the Season"
Paul Atkinson - guitar

With:
Tim Renwick - guitar
John Woolloff - guitar
Laurie Wisefield - guitar
Claude Nobs - harmonica



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