Louis Jordan 「ルイ・ジョーダン 1939-1954」(1996)

 一点だけ瑕疵あるが、今でも手軽に全盛期を聴ける日本製の編集盤。

 ルイ・ジョーダンは1930-70年まで活躍したジャンプ&ジャイブの大物。ロックンロールの更に始祖にあたり、チャック・ベリーらに多くの影響を与えた。ユーモラスな余裕と、ビートの効いたサウンドは、今でも楽しく聴ける。大ヒットを飛ばしたゆえに録音もいっぱいあるが、CD一枚でコンパクトに聴くなら、これが今でも手っ取り早い。
 
 編集は中村とうよう。MCAビクターより1996年に"MCAジェムス"シリーズの一環で発売された。39~54年のデッカ録音から編集されてる。ジョーダンは1939年にデッカで活動を開始、戦中はV-Discにも参加して54年に移籍した。

 その後はアラディンなどで録音あるが、実質はデッカ期が全盛期ってイメージある。その点で、代表曲をずらっと概覧出来る本盤はありがたかった。
 本盤はSP音源のはずだが丁寧にノイズ除去をして、若干上下が潰れつつも厚みあるマスタリングで、さほど遜色ない響きで楽しめる。

 ただ、唯一の瑕疵あり。それは代表曲のひとつ"カルドニア"が本盤に入ってないこと。同じ"MCAジェムス"の一環で発売な「ブラック・ミュージックの伝統~ジャズ、ジャイヴ&ジャンプ篇」に収録のためだ。
 商売上、わからんでもない措置だが・・・今となっては非常に惜しい。

 

 ぼくがルイ・ジョーダンを聴いて面白いと思うのは、同時代の音楽と比較してメロディーが斬新なところ。さらにノベルティ色を豊かに親しみを持たせつつ、音楽はきっちりファンキー。今でも胸騒ぐグルーヴなとこが凄い。
 しかも上品さを保ち、端正な様相を崩さずにギャグの要素を混ぜるバランス感覚までばっちり。隙が無い。

 特に好きな曲はインストの"Onions"。94年くらいに佐野元春の番組でもジングルに使ってた。ビッグバンド・スタイルだがパンチ力あるメロディと、整ったスイング感がたまらない。さらに中盤で金管が高らかに歌い上げる場面の鮮やかさったら。そのあと、ひしゃげたサックスがソロを取る。このアドリブ吹いてるのがジョーダンかな?

 もちろん代表的な歌ものの"Five Guys Named Moe","Caldonia"も好き。畳みかけるスピード感の前者や、特異な叫びで強烈な印象を残す後者、双方のアイディアが素晴らしい。
 リイシュー状況を、Amazonで検索してみた。思ったより、今敢えて買いたくなる手ごろな盤が無い。やっぱ、この盤で充分かもしらん。

 ルイ・ジョーダンは自らのバンド、Tympany Fiveを率いて膨大な録音あり。デッカ音源に限っても、独ベア・ファミリーが92年にCDで9枚組の盤を発売してた。最近だと英DSPが5枚組の廉価版Boxを14年にリイシューあり。
 デッカ以降、アラディンなどの音源集はJasmineが出した、2枚組"Rock N'roll Years 1955-58"が良いのかな。すべての年代を概観した編集盤ってのは、Amazonで見当たらなかった。
 ジョーダンにずぶずぶ浸りたい人には、これらをどうぞ・・・ってとこか。ぼくはどれもまだ、聴けてない。
  

 MP3のほうは編集盤があまりに膨大で、全貌がさっぱり。
 600円で50曲入りのデッカ音源集な"The Anthology (Amazon Edition)"(2011)が手ごろかな。あとは何枚かMP3アルバムを見たが、とても買う気にならない。安直な編集盤ばかり。


Track listing:
01. Doug The Jitterbug
02. You Run Your Mouth And I'll Run My Business
03. Penthouse In The Basement
04. Five Guys Named Moe (モーという名の5人の男)
05. I Like 'Em Fat Like That (太いのがお好き)
06. G. I. Jive
07. Buzz Me
08. Salt Pork, West Virginia
09. Beware
10. Choo-Choo Ch' Boogie
11. Ain't That Just Like A Woman (They'll Do It Every Time)
12. Let The Good Times Roll
13. Texas And Pacific
14. Reet, Petite And Gone
15. Inflation Blues
16. Daddy-O (From "A Song Is Born") (duet with Martha Davis)
17. Push Ka Pee Shee Pie
18. Onions
19. School Days (When We Were Kids)
20. Saturday Night Fish Fry
21. It's a Great Great Pleasure
22. Life Is So Peculiar(人生って奇妙なもの) (duet with Louis Armstrong)
23. Weak Minded Blues
24. How Blue Can You Get?
25. Fat Sam from Birmingham
26. Stop Makin' Music
27. Perdido


関連記事

コメント

非公開コメント