L.J. Reynolds 「Love Is About To Start」(1999)

 歌のうまさだけで押し切った。荒っぽいアレンジだが聴きこむとじわっと良いソウルだ。

 ミシガン州出身で73年からドラマティックスに参加し名を上げたLarry "Chubby" Reynoldsのソロが本盤。81年にドラマティックスを離れ、ソロ活動を始めたらしい。Discogsによれば以下のアルバムがあり。以下によれば本盤は7thソロにあたる。

1981:L. J. Reynolds
1982:Travelin'
1984:Lovin' Man
1987:Tell Me You Will
1991:Through the Storm
1994:2 Of A Kind(ロン・バンクスとのデュオ)
1999:Love Is About To Start
2011:Get To This

     

 唇をきゅっと横に広げ、下三角形の笑顔が特徴。目が全然笑ってるように見えず、なんか怖い。

 初手から打ち込みのビートが入る。はっきり言って、しょぼい。曲によってはきちんとバンド風のアレンジ曲もあるため、低予算ってわけじゃ無く狙いと思う。しかし打ち込みのすかすかなバッキングは時代を経たら、何とも貧乏くさい。
 だが、聴かせる。歌の確かさがあってこそ。曲そのものもあまり印象に残らない。耳障りは良いが、つるつると曲が流れてしまう。でも歌で聴かせる。妙な説得力を持ったアルバムだ。

 喉を張って熱くシャウトするスタイルが奔流。ざらついた響きで朗々と声を震わせる。どっちかと言えばぼくは、もっとクールな歌い方のほうが好みだ。けれども本盤はなんとなく、耳へ滑らかに馴染んだ。移動中にイヤフォンで聴いてたら、寛げたんだ。

 プロデューサーはMichael J. PowellとTony Camillo。二人ともベテランで前者はアニタ・ベーカーなど、後者はスティーヴィー・ワンダーなどと仕事をしてきたそう。
 やっつけではなく、きちんとプロダクションのようだ。(4)ではコーラスにドラマティックス自身のクレジットもあり。

 (5)みたいに、もろ70年代ソウルっぽいアレンジと流行を狙ったかのような打ち込みシンセのアレンジが共存する、どっちかと言えばごった煮なアルバムだ。どれもドラムが打ち込みなのが残念。

 まっすぐに喉を震わせながらも、ニュアンス込めてぐいぐい揺らすレイノルズの歌い方には、揺らぐ生ドラムのほうが時代を超えたグルーヴが産まれそう。
 しかしホーン隊のアレンジもはっきりしない(5)は生の管だよな?その割に打ち込みがメインのほうは、弦や管はシンセで代用する。
 
 アレンジャーのセンス、かもしれない。けれどもやはり安っぽさが物足りない。歌はいいのにな。
 歌を目立たせ、印象付けるって意味では正しくアレンジされてるが。

 (6)や(9)が好み。勢い一発で押すことも、バラードをしみじみ聴かせることもレイノルズはできる。だが穏やかなテンポで、ゆったりくつろぐムードの演出が特に似合う。

 なおクレジットを子細に見ると、混乱するとこもあり。平板なリズムと思った(1)でもドラマーのクレジットあり。単にドラム音色がエレクトリックなのか、打ち込みを彼が担当っていうことか。
 (5)にはP-Funkのアンプ・フィドラーがギターで参加した。アレンジは70年代ソウルそのままだが。(7)や(8)はフィドラーが鍵盤をほとんど担当、演奏の主軸を締めた。(8)で若干のファンクを漂わせるが(7)は甘い感じ。はみ出ず、普通に仕事をこなしてる。

 本項を書きながら何度も、本盤を聴き返してた。やはり生演奏のほうが良い。素朴なアレンジ、そっけない曲。だがしみじみと上手い歌。どんどん良さがにじみでてくる。
 実際、ほとんどは生演奏だ。鍵盤打ち込みの安易さのほうが印象に残ってしまうとこが、始末悪い。歌を聴こう。この伸びやかで溜めて高らかにシャウトする、歌声を。

 改めてドラマティックスを聴き返したくなった。ドラマティックスもアレンジの熱さがぼくの好みとちがうのだが、本盤を聴いたあとだと、違う視点で聴き返すことができそうだ。


Track listing:
1. Didn't Mean To Hurt U
2. Superlady
3. Silly
4. Don't Go There
5. Key To The World
6. Love Is About To Start
7. Nobody But You
8. Down On My Luck
9. Everything Is You

Personnel
Lead Vocals - L.J. Reynolds
Producer - Michael J. Powell
Arranged - Tony Camillo
Backing Vocals - The Dramatics (tracks: 4)

Vernon Fails - key (1),(2),
Michael J. Powell - g,per(1),(2),(4),(6),
Paul Allen - ds(1),(2),
Leon Kinchelow - cho(1),(2),
William Wooten - key(3),
Leroy Hyder - acc key,strings(3),
Raymond Buster - ds(3),
Sandra Fever - cho(3),
Curtis Boone - key(4),(6),
Everette Boone - g(4),(6),
Amp Fiddler - key(5),bass key,strings,all other keyboards(6),p,organ keyboard horn(7),
Carl Robinson - g(5-9),
James Jamerson.Jr. - b(5),(7),
Carl "Butch" Small - g,per(5),per(6-8),
Dewayne Lomax - ds(5),(9)
The Vine Street Horns(Harry Kim,Daniel Fornero-tp,Arturo Velasco-tb,Ray Herrmann-sax)(5),
David Brandon - ds(6),(7),(8)
Al Ayoub - g(8),
Scott Graham - sax(9)
John Hoesly - b(9)
Mario Castro Neves - progamming(9)


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