TZ 8319:Zion 80 "Adramelech: The Book of Angels vol. 22"(2014)

 アルバムごとに違う編成で、316曲の第二期Masada"The Book of Angels"を演奏するシリーズ。第22弾は硬質なアフリカ風味のクレヅマー・ファンクだ。

 今回のバンドZion 80はJon Madof(g)が率いる11人編成のバンド。TZADIKから2013年に1st"Zion80"を発売した。ユダヤ教ラビShlomo Carlebachの作曲を、ナイジェリアのフェラ・クティ風アフロ・ファンクで演奏がコンセプトだった。

 
 本盤も同様にファンクなスタイル。抜群の演奏力でタイトかつグルーヴィに決める。しかしフェラ・クティっぽいわりに上手いため、ルーズさが無い。それゆえに、奇妙な整然と清涼さが漂う。上品かつクレヅマーに通じる情感が、アフロ・ビートの前のめりさと混ざり、独自のクールな魅力を表した。
 なお本盤収録曲も、他のマサダ関連盤とダブらない。すべて本盤が初音盤化になる。

 11人編成はFrank LondonやShanir Ezra BlumenkranzなどTZADIK界隈で顔なじみを含む。管が5人、マドフも含みギターが2人。この7人にベースと鍵盤、ドラムが一人にパーカッションが1人の11人となる。(7)のみ、パーカッションがもう一人参加した。
 人数編成からついDCPRGを連想するが、このバンドはポリリズムでなくロックなビッグバンド風を志向のようだ。跳ねるリズムだが基本はジャスト。リフとソロを基本的に分けながら、単純なソロ回しにはしない。
 ソロを交えつつ、全員演奏を成立させる細かくきっちりしたアレンジだ。ほぼ譜面で、アドリブ以外に即興要素はほとんどなさそう。

 ロックなビッグバンドの響きが鋭いアフロ・ファンクの風味で、クレヅマーな楽曲を奏でる。こんな複雑でややこしい、幾層にも切り口を重ねたアプローチが面白い。
 マサダの自由奔放とは逆ベクトルな構築美だが、あまりの緻密なアレンジと演奏にやられ、新たな魅力として素直に聴けた。すごいな。テクニックひけらかしではない。むしろ求道的にストイックなスタイルが、実験要素を素直に取り込んだ。

Track listing;
1. "Araziel" - 7:15
2. "Sheviel" - 5:49
3. "Metatron" - 9:06
4. "Shamdan" - 7:17
5. "Kenunit" - 10:37
6. "Caila" - 4:22
7. "Lelahiah" - 6:01
8. "Nehinah" - 5:56

Personnel;
Jon Madof - guitar
Frank London - trumpet
Matt Darriau - alto saxophone, kaval, clarinet
Greg Wall - tenor saxophone
Jessica Lurie - baritone saxophone, flute
Zach Mayer - baritone saxophone
Brian Marsella - keyboards
Yoshie Fruchter - guitar
Shanir Ezra Blumenkranz - bass
Marlon Sobol - percussion
Yuval Lion - drums
Mauro Refosco - percussion (track 7)


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