TZ 8309:John Zorn "In Lambeth-Visions From The Walled Garden Of William Blake"(2013)

 複数ギターなグノシック・トリオの3作目。美しく繊細な風景だ。

 ジョン・ゾーンとして"A Vision in Blakelight"(2012)に次ぐ、19世紀の英詩人ウィリアム・ブレイクに触発されたアルバム。ビル・フリゼールらの変則疑似トリオ、グノシック・トリオの"The Gnostic Preludes" (2012), "http://tel1400.blog.fc2.com/blog-entry-309.html" target="_blank" title="The Mysteries">The Mysteries" (2013)と発表に続く3枚目にあたる。なお本盤では1曲でイクエ・モリが参加した。

 

 冒頭からいきなりギターのループに、別のギターが加わる。その場でサンプリング・ループかもしれないが、ダビングかも。他のトラックでも複数のギターが聴こえるが、ループかダビングか判然としない。確証まで聴き分けられてないが、そもそも2本のギターが掛け合いをしてる場面もあるかのよう。(5)や(8)とか。(2)はディレイ・ループと微妙なところ。
 
 別にどっちでもいいじゃん、と言うなかれ。それによって本盤が作曲なのか即興なのか、どこまでゾーンの指揮や意図が溶かされたか、が変わる。重要なポイントだ。
 今まで聴いてる限りだと・・・けっこう、ダビングっぽい。細かなフレーズはアドリブとしても、意外に譜面の要素が多そうだ。

 タイトルは、ブレイクの預言書にして、叙事詩と彩色印刷の大作"エルサレム"(1804)からの引用。ただしここではすべてゾーンのオリジナル曲を演奏してる。
 一曲は3~6分強。あまり長くは展開させず、コンパクトな小品を並べた。

 演奏はグノシック・トリオらしく流麗にして繊細。本盤は複数のトラックを使うフリゼールを主役的に持ってきながらも、サウンドはソロと伴奏には至らない。滑らかに主従が入れ替わり、ハープやビブラフォンも十分に主役を張る。
 ソロ回しではない。混然一体のアンサンブル。リズムは互いが取り合い、酩酊感漂うミニマリズムと、奔放な旋律使いが自在に交錯した。

 世界観はむしろこじんまり。しかし柔らかく細かな音使いが、濃密で軽やかな風景を緩やかに描く。
 イクエ・モリが参加の(7)は電子音が飛び交い、さらにスペイシーに広がった。
 主にフリゼールが曲ごとにギターの音色を変えるため、似たような響きでも微妙に違う。
 降り注ぐ音の波に、耳が心地よくくすぐられる。

Track listing:
1. "Tiriel" - 4:58
2. "A Morning Light" - 4:46
3. "America, a Prophecy" - 6:17
4. "Through the Looking Glass" - 3:56
5. "The Ancient of Days" - 6:55
6. "Puck" - 3:36
7. "The Minotaur" - 3:26
8. "The Night of Enitharmon's Joy" - 4:55
9. "Walled Garden" - 4:33

Personnel;
Carol Emanuel - harp
Bill Frisell - guitar
Kenny Wollesen - vibraphone, bells
Ikue Mori - electronics (track 7)

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