聴かないのに聴けないと聴きたい。

12時間連続のDJロングセットがあった。Stones Throwレーベル主宰のPeanut Butter Wolfが12年に行った時の映像。ピーナッツのプロフィールはこちらか、こちら。

ソウルを中心のようだが、リック・ウェイクマンやELO、レジデンツも混ぜるごった煮スタイル。ビートルズ → スヌープ・ドッグ → モーメンツ → ウータンとつなげるセンスが面白い。

長尺だがぶつ切りにせず、You tubeでは3ファイルに分かれてた。最初のセットがこちら。
Youtubeの動画説明欄でセットリストが見られる。

で、表題につながるのはここから。日本だと制限かかり、Set3だけ聴けない。別に12時間ぶっ続けで見られなくともいいのだが、なんか悔しい。

本企画元のBoiler RoomでMP3が落とせるけれど、Set 1だけ。

逆にSet 3はサンクラで落とせるようだ。

とりあえずSet1とSet3だけでファイル容量が約1ギガ、約7時間。大笑いだ。誰が聴く?

だがMP3のSet2が見当たらない。Youtubeで見られるから、これをMP3にコンバータすればいいのだが。

しかし。翻ってこの12時間セットを聴くか?と聞かれたら聴かないと思う。1ファイル3時間だからブツ切れになるし。せめて30分単位でトラック切ってほしかった。
とはいえども。聴けないとなると、無性にファイルを探してしまう。持ってるだけで安心、いやMP3なりのリンクをブックマークしてくだけでも安心。

いつでも聴けるって、まず聴かない。しかし聴けないと聴きたくなる。で、聴きもしない音源を探してしまうという。二次所有欲とでも言おうか。21世紀の新しい欲望の形だと思う。
とりあえずブックマークしといたらOK、みたいな。ブクマだけで覚えたり自分のモノになった気がする疑似記憶。実際にはリンク先消滅の危険あるから、HDDに落しとく必要がある。これが2次所有。ブクマだけなら、3次所有か。何もしないで「ネットで探せばあるさ」と安心が4次所有。うわー。いっぱい所有の概念が増えた。

こういうラジオ番組が高校生のときあったらなあ。CD買わずにずっと聴いていそう。

Charles Earland"Leaving this planet"(1974)

奇盤だ。元はアナログ2枚組で発売の大作。こないだ「ファンキーなオルガン・ジャズ」のあおりに惹かれて買ったが、内容は時代性を加味すると「ねじれまくったジャズ」。

フュージョンへ向かいつつある時代、本盤は真正面からジャズやろうとしてるがアレンジやアプローチはフュージョンだ。だがどっちつかずではない。どっちにも行きつけなかった。もちろんプログレでもない。
奇妙な立ち位置は、たぶんチャールズ・アーランド(org)自身のミーハーさもあったと推測する。だってこのアルバム構成もアレンジも、変だもの。

アルバムとしての聴きものは何より、ハーヴィ・メイソンのドラム。手数多くはたき込むいかしたドラミングがまず耳に残る。オルガン奏者ゆえにベースはアーランド自身が担当している。何も考えず楽しむなら、このドラムとオルガンのグルーヴに耳を委ねてればいい。

だが。サイドメンを見てみよう。フレディ・ハバード(tp:当時36歳)とジョー・ヘンダーソン(ts:当時37歳)。ちなみにリーダーのアーランドはこのとき34歳。まあ、同世代と言っていい。だがアドリブの要素は明らかに古臭い。特にジョー。フレディは溌剌さでごまかされるが、古き良きハード・バップを引きずっている。
ハーヴィのドラムは跳ねが強いから、いわゆるジャズと一線引いてる気もするが。

本盤のアレンジはムーグ・シンセの専門奏者がいる。Dr.Patric Gleeson、70年代初期にハーヴィ・ハンコックと数枚で共演したメンバー。さらにワウワウのエレキギターも混ぜ、時代の最先端を走ろうとしてる。少なくとも、アーランドの狙いは。

本盤で面白いのは、それなのにメイン・ゲスト二人のオリジナル曲を1曲づつ取り上げてるところ。しかもLPだとA面2曲目とC面2曲目。コンセプト・アルバムならサウンドのイメージを固める、重要な箇所なのに。
フレディとジョーに気を使ったんじゃなかろうか。曲名こそスペイシーだが、サウンドはソウルフルなジャズだから。

曲順を書いてみよう。明らかにアーランドはSF的なファンタジーをオルガンだけじゃなくシンセを使って描こうとしている。二人の曲を排除するような、冷徹になれない中途半端さが、本盤を奇妙な立ち位置に導いている。

A1.Leaving This Planet
A2.Red Clay (フレディ・ハバードの曲)
A3.Warp Factor

B1.Brown Eyes
B2.Asteroid

C1.Mason's Galaxy
C2.No Me Esqueca (ジョー・ヘンダーソンの曲)
C3.Tyner

D1.Van Jay
D2.Never Ending Melody

なお本盤の録音はベーシックを73年12月に3日間かけてカリフォルニアで録り、ダビングを翌年2月にサンフランシスコで行っている。

どの辺をダビングかは分からない。時々入るSE風のストリングスやシンセ、エレキギターかもしれないし、リズム隊を変えて数曲、録り足したのかもしれない。ドラムは全曲がハーヴィでなく、3曲でブライアン・ブレイクが叩いてるから。

サウンドもあちこち奇妙。まっとうなジャズを演奏する他のメンバーに比べて、オルガンのソロはいかにも自由だ。やたらトリルを執拗に続けたり、変にフリーな要素を混ぜたり。それでいて基調は実にファンキーなのに。
管のソロが入った途端、いきなり音風景がジャジーに変わるのがヘンテコ。

エンディングも3曲を除きフェイド・アウト。うち一曲はテープのカットアウトっぽい。好みの問題だが、どうせならきっちりエンディングまで決めて欲しい。コンセプト・アルバムで山のように曲ができたとしても、短く収めるアレンジは有るはずだ。
なんか気持ちよさに任せて演奏だけ続いて、適当なとこでフェイド・アウト感がする。なら別に、最後まで聴かせてよ、と思う。気持ちいいんだし。

他にもいろいろある。でも内容は楽しい。いわゆる名盤と言い難いが、つまったサウンドは心地よい。だけど、どっか変。当時は時代の先端狙いだったのかもしれないが。


未知の世界は面白い?

「中央ヨーロッパ現在進行形ミュージック・シーン・ディスクガイド」オラシオ:監修(2014;DU BOOKS)を読んでいる。めちゃくちゃに面白い。

V4(ヴィシェグラード4ヵ国)を挙げてください。挙げられましたか?ぼくは出来ませんでした。
正解は、ポーランド、チェコ、スロヴァキア、ハンガリーです。
では、それぞれの国を地図で指し示せますか?・・・ぼくは出来ませんでした。

馴染の薄い中央ヨーロッパの4ヵ国(あ、V4か)で"今、流れる"音楽を集めたムック的な本。いわゆるヒット曲のポップ・ミュージックだけでなく、DUブックスゆえにジャズやプログレ、エレクトロニクカやヒップホップ、クラシックと幅広い360枚以上を紹介してる。
ぶっちゃけ掲載されてるミュージシャンは全員、知らない。せいぜいイヴァ=ビトヴァを1枚、ライコー・フェリークスを数枚聴いただけ。あとは何から何まで知らない情報ばかり。
ぼくが情報に疎いだけで、こんな面白そうな世界があったのか。

まず本書の読みごたえは、単なるCDガイドに終わってない所。コラムをいくつもはさみ、V4地域への興味を促す編集を施してる。
つぎに敢えて体系立てを回避したところ。ミュージシャンを選び縦軸で歴史を語らず、ある意味、雑多に盤を紹介する。国もジャンルも脈絡なく、大まかに章立てしてあとは次々盤を並べた。だからごちゃまぜの情報が一気に押し寄せ、好奇心が盛大にうずく。

昔はこの手のガイド本見てどれを買おうか、どうやったら買うかに頭を悩ませた。
だが今は本書末尾に丁寧な説明あるように、ネット通販が相当便利になった。さらにYoutube他で試し聴きも容易になった。
すると、どうなるか。情報の奔流でワクワク感を盛り立てつつ「どれを試聴しようかな」でまず、一歩立ち止まってしまう。片端から試聴する瞬発力より「どれでも断片くらいは聴けるだろうから、どれをまず聴くか吟味しよう」と。

物凄く贅沢な話だ。そして振り返り「自分の足元を固められてるか」って気がむくむく浮かんだ。なにもV4へ好奇心飛ばさなくたって、身の回りの音楽だけで十二分に楽しめる。
だが日本だけで固まってちゃいかんよな、と言い訳もしたくなる。

とりあえず、本書は面白い。好奇心をくすぐるのに最適な本だ。

今のBGM:ベシュ・オ・ドロム
ハンガリーのワールド系バンド。日本盤も出てるし日本語Wiki記事まであったが、ぼくは全く知らんかった。

本書の解説でポリリズミックなリフっぽい表現有り、DCPRGっぽいのかな?と検索。少なくともこの2012のライブ映像では、もっとバルカンっぽい疾走させるジャズ・ファンクだった。
以下の映像は約1時間のライブ映像フルセット。マルチカメラで飽きない編集だ。プロショットかな?とりあえず40:24過ぎの曲をおすすめとして挙げときます。
ゲストのJuhász Miczura Mónikaがアラブ風味の歌をぐいぐい聴かせ、ダルブッカと鉄琴の猛烈な掛け合いに入るとこがかっこよかった。実際にはこの音楽、ジプシー(ロマ)風らしい。


これもかっこいいな。アップテンポで押しまくる。07年ブダペストでのスタジオ・ライブ。

chibis

まとめサイトで「海外の日常系マンガ」って記事が面白い。

このマンガ作者Mikiko Ponczeck のオリジナルWebを読んでいて、驚いた。仕事のギャラが書かれたページ見てて「へえChibisの料金セールやってら。・・・で、Chibisってなんだ?」。

検索してみる。愛用のWeblioで「Plural form of chibi.」と出てくる。Pluralとは複数形だ。chibiをクリックすると日本人苗字に飛ぶ。リンクミスか。

英英の方がいいか、と検索したらUrban Disctionaryが引っかかった。
ほんとかよ。記事は04年の投稿だ。このころから「ちび」って英語文化圏に伝わってたのか。

ただしあまり良い伝わり方ではない。そもそも「ちび」の否定的なニュアンスは伝播せず、「小さい」ことの可愛らしく良い日本語訳、と真逆に取られてる。セーラームーンのちびうさが語源らしい。

そして少なくとも10年前だと、いずれにせよ"Wapanese"の一種と扱われた。ワパニーズって日本かぶれの蔑称。知らない単語だった。このエントリが分かりやすい説明だ。

ということで、思わぬ切っ掛けで英単語の知識が増えた。ここまで、一度も紙の辞書を開いてない。しかし高校の頃に買った辞書しかない。するってえと、25年以上前の出版か。
もう捨てても良いな、こんな古いの。・・・まだ結構きれいなのに。

ドロシー

ドクター・ジョンの73年ライブ音源が無料DLで上がってた。
amassの記事はこちら http://amass.jp/50018/

調べると1973年11月6日にNYのウルトラソニックでスタジオ・ライブの音源。観客の歓声も聴こえるけど、ラジオ用かな。ライン録音で分離も良いステレオだ。音質は10点中8。ちょっとドロップしてる気がする。
73年と言えば"In The Right Place"の発表年。本盤からも6曲を演奏してる。

バッキングはアラン・トゥーサンとミーターズってブートの情報もあったが間違いのようだ。上手く聴き取れないが、中盤でのメンバー紹介はミーターズと全く違う人たちばかり。
「うぉ、こんな音源が眠ってたとは!」と一瞬熱狂したが、どうやら"Herbal Mixture"とか"ULTRASONIC STUDIOS"のタイトルで、ブートで昔から出回ってた音源らしい。

と、えらそうに語ってみたものの。実はドクター・ジョンって詳しく無い。"ガンボ"や"In The Right Place"など、数枚しか聴いたことない。

ということで、本題。ぼくが大好きなドクター・ジョンの曲は"ドロシー"。
ピアノ・ソロの"Dr. John Plays Mac Rebennack"(1981)に収録されている。オリジナルは、こちら。

ロマンティックさとスワンプ風のグルーヴが混在する、とっても小粋な曲。あまりニューオリンズの音楽に思い入れは無いのだが、こういう温かさは好みだ。こじゃれた場所でもいいが、むしろ薄汚れたバーの片隅も似合う素朴な音楽。

ふとYoutube検索したら、カバー演奏が何曲もあった。どうやら譜面が昔、出回ってたみたいね。
MIDI演奏まであってビックリ。これがまた、けっこう温かいんだ。打ち込みといえども、ここまでニュアンス出せるとは。侮れない。

これはドクター・ジョン自身の別テイク。アルバムが02年にリマスター再発の時、ボートラでついたらしい。これ、聴いたことなかった。

色々と本当もう、ネットで聴ける音楽の幅広さが凄まじい。ブートに高い金出すのは「今これを聴きたい」って瞬発力だけになりそう。あちこち探してると、意外な音楽がネットに転がっている。