夏から秋へ

月曜日はむっちゃ寝苦しく、一昨日は肌寒い。昨日も涼しめ。なんだ、この一週間は。
なぜか朝4時半にいったん目が覚める。夜は眠いので早めに寝て、翌日も4時半に目が覚める。悪循環だ。今日は本を読んでて日が暮れた。途中、何度もうたた寝。いかん、悪循環だ。

ということで今のBGM。こんな季節には、穏やかなジャズが良く似合う。

今のBGMはビックス・バイダーベック。こないだ買ったやつ。
スイング以前の名手と有名だが、今まで聴いたことなかった。サッチモもあまり知らんしなあ。
ぱっと聴き、録音音質のしょぼさに舐めてしまう。録音と音楽の先鋭さに関係は無いのに。本盤の録音は24-29年。うわ、90年前。もうすぐ一世紀前か・・・時のたつのは早いもの。

アーリー・ジャズはスイングみたいなものかと思ったら、本盤でのジャズはもっと自由だった。ディキシー~アーリー~スイング~ビバップの時系列でいいのかな。
本盤は今でも古びないところが脅威だ。今の耳で存在しないのは、リズムの揺らしとフリーの凶暴さ、強靭なグルーヴや汗の匂い。

無い物ばかりに見えるが、実際に本盤のジャズは上品でクール、そして芳醇だ。アレンジの妙味が良い。バイダーベックのソロよりも、サウンド全体が気に入った。
ドン・マレイのクラリネットもスマートで素敵。
てか、ドラムがイマイチなんだな。バスドラが杭打ちみたい。

なぜスイングでリズムが定型化し、ビバップで曲芸ソロが構築化したのか。本盤で聴けるアーリー・ジャズは、すごく自由だ。例えば(5)"Three Blind Mice(Rhythmic Theme In Advanced Harmony)"。テーマの合間にカウンターで各楽器が音を入れ、キュートさを表現する。バリサクの歌い上げはフレーズの最後でクラがユニゾン。

ビックスのペットがトップでソロっぽい吹き方だが、バッキングがピタリと寄り添い書き譜と分かる。そのまま短いペット・ソロが生き生きと鳴った後、エディー・ラング(g)からエイドリアン・ロリーニ(bs)のソロ、間をおかずアンサンブルに。
3分あまりの曲に、冗長なスペースは無い。ダンサブルでスリリングなアレンジだ。
バンド名義はFrankie Trumbauer& his Orchestra,1927年の録音。

Youtubeを貼っておく。この音源はSP起こしママか。ぼくの聴いたCDはかなり針ノイズ除去済。とはいえSP起こしママのYoutube音源の方が、音質に奥行有り。難しいもんだ。

ソニー・ロリンズ"薔薇の肖像"

原題は"Old Flames"(1993)。邦題「薔薇の肖像」なのはジャケットで薔薇をあしらってるせいだろう。ソニー・ロリンズのリーダー作。

スタンダード6曲、とロリンズのオリジナルが1曲。冒頭と最後のスタンダード曲は、ジミー・ヒースがアレンジしたホーン・アンサンブルが加わり豪華なムードを演出した。

他のコンボ編成はtsにtb/p/b/dsの変則クインテット。柔らかそうなリードの音色のテナーを、ボーンが支えるアレンジを採用した。
なんでトロンボーン?と思ったら。Clifton Andersonはロリンズの甥だった。本盤では一人前扱いはされず、ソロはほぼ無し。テーマのカウンターメロディに徹してる。

冒頭から華やかな金管のオケっぽい響きがゴージャスさを煽り、逆にメゲるが。
すぐにロリンズの長尺ソロが入り、サウンドを引き締めた。

ロリンズのソロはテクニックひけらかしとは無縁。滑らかにメロディを紡ぐ。ずるっとした音色はビブラート効かせ、ふくよかに歌い上げた。旋律を変奏するさまは、想像以上にのめり込んだ。(1)の後半で無伴奏に吹くテナーは、恐ろしくドライで枯れている。
他の楽曲でもロリンズのアドリブ・センスは光る。(4)でのノイズ交じりの音色を駆使したソロっぷりは、フリーな奔放さすらもチラり伺わせた。

フラナガンも安定したアドリブでロリンズを盛り立てる。型からずれそうで、はみ出ないロリンズと対照的に、徹頭徹尾、甘く柔らかい世界をピアノは紡ぐ。

ディジョネットのドラムって、こんな手数少なかったっけ?テナーから溢れさすメロディを簡素に支えるリズムだ。ただし普通に刻まず、はたき込むようなパターンを頻繁に入れてリズムを複雑に揺さぶる。ランニングせずメロディアスなベースパターンと併せ、ちょっとひねった。
だからこそオーソドックスなテナーやピアノのアドリブが引き立つ。

スリルとは無縁。しかし寛ぎつつ、ソロの音使いには耳をそばだてる。単なるBGMジャズに堕さない、ベテランならではの味を見せた。ロリンズの代表作とは言わないが、好盤だ。サックスとピアノ二人のソロは長めにスペースが置かれ、せわしなく無いのも良い。


[Musician]
Tenor Saxophone– Sonny Rollins
Bass– Bob Cranshaw
Drums – Jack DeJohnette
Piano – Tommy Flanagan
Trombone – Clifton Anderson
Flugelhorn – Byron Stripling (tracks: 1, 7), Jon Faddis (tracks: 1, 7)
French Horn – Alex Brofsky (tracks: 1, 7)
Tuba – Bob Stewart (tracks: 1, 7)

エットーレ・マーティン"Natural Code"(2001)

先日まとめて買ったCDを聴きはじめたら、予想以上に聴き応えあり。ということで通勤中に聴いてた一枚を紹介で、今日の日記にかえさせて頂きます。

Ettore Martin"Natural Code"(2001)
リーダーは伊のテナー奏者。本盤は以下の4人で構成され、コード楽器がいない編成だ。ぱっと連想するのはマサダ。だがマサダはメロディ自体に和音感があると同時にクレツマー自身が持つエキゾティックな世界を以下にメンバーが料理するかが聴きどころ。

しかし本盤では楽曲ごとに表情を変え、フリー要素も盛り込んだストレート・アヘッドなジャズだ。(1)がセンチメンタルな曲調で今一つ惹かれなかったが、聴き進めるにつれ魅力に色々気が付いた。

木管二人のソロを中心のアンサンブルは、いたずらなソロ回しへ終始せず。どちらもコルトレーン的な連続するフレーズを繰り出しつつ、テクニックに寄りかからない。

歯切れよいドラミングを根底に、ベースは一歩引いて低音を繰り出す。アンサンブルのスピード感は控え、じわっとグルーヴづくりを狙った。エットーレはテナー一辺倒。サイドメンのグイド・ボンバリディエリが楽曲ごとに楽器を持ち替え、音色にバリエーションを持たせる。

(2)はテーマの突き抜ける和音が心地良い。小節感の希薄な小品のタイトル曲(3)もクルクル景色が変わる。ベースレスでドラムが煽り、ぐっとベースがランニング突入の瞬間がかっこよかった。さらにたちまちテンポを落し、じっくりメロディを着地。

(4)はアルコ弾きのベースへ二管がテーマを変奏しつつ巻きつく。ベースソロはドラマティックに進む。どうやらドラムとベースの立ち位置で、本アンサンブルの印象は大きく変わる。

ハード・バップな(7)もピアノ無しが進行自由なスリルを産んだ。コード進行あるとしてもメロディと低音のみが、かすかに曲を前へ進める。瞬間を切り取るのは吹きまくる木管の音。

エットーレはメロディを基礎に置きつつも、時にフリーキーなソロをぶちかます。タンギングを甘く吹き立てるさまはコルトレーン流だ。
あまりイタリアならでは、を探すのも不毛でヤボだが。抒情滲むメロディあたりか。

全10曲全てエットーレの自作。00年の2月27-28の二日間で録音された。
AmazonのMP3で購入が可能

[参加メンバー]
Ettore Martin: tenor sax
Guido Bombardieri: alto & soprano sax, bass clarinet

エットーレの経歴は良くわからず。以下のリーダー作をリリースしてるようだ。
1994 "Summertime in Jazz"
1995 "Sitting bull dance"
1999 "Soulstreets"
1999 "Here & There"
2000 "Blowing"
2001 "Natural Code"
2005 "Senzaparole"
2008 "Corpo Acustico"

ケイト・ブッシュ50選

英MOJOが選定、詳しくはリンク先を。http://amass.jp/44420
"Oh England My Lionheart"が入ってない・・・。ぼくはリスト云々言うほど、彼女の音楽を聴いちゃいないのだが。

ケイトを初めて知ったのは85年の末。飯島真理がラジオの冠番組で"KIMONO STEREO"のプロモ・ライブを2週連続放送した時にカバーした、"Oh England My Lionheart"の歌がきっかけだ。「大人っぽい曲だなあ」と感じたと思う。

ケイト自身を聴いたのは89年位かな?85年当時は高校生、買えるLPのリストにケイトは入らなかった。図書館にもLP置いて無くて聴けず。大学に入ってバイト代をレコ屋へ注ぎこむようになって、"THE KICK INSIDE"(1978)をジャケ買いした。
カナダ盤のジャケット違い(↓)だった。
買ってから"Oh England My Lionheart"ないじゃん、とがっくりきた記憶ある。その時は店頭に無かったのかな。こう思い出すとAmazonもないYoutubeもない時代だとしみじみ。隔世の感だ。
後述するが、ほぼ全曲がYoutubeに違法アップされているしまつ。レコード会社はたまらんな。

で、"THE KICK INSIDE"。キンキン声にビビりながら、繰り返し聴いては歌のうまさに惹かれてた。カセットに落として聴きながら、大晦日の夜中に二年詣り行った記憶もある。カセットにダビングって。うわ、どんどん昭和な話になってきた。
当時は黒人音楽が好きだったため、深くはケイトを聴かず。ディスコグラフィ見たら、1st-6thまでしか聴いたことない。

ケイトはとんでもなく幅広い声域を使いこなしつつ、瑞々しい響きやニュアンスを歌声に込めるところが魅力。聴いたことある盤はどれも、曲が声を収めきれてない。聴き終わって「綺麗なメロディだな」より「声がすげえ」って印象だもの。
いっそスタンダードをケイトが歌う盤ってのも聴いてみたいな。どんなふうに料理するだろう。

そして今、1stからケイトを聴きかえしている。
1stはベースがかっこいい。1stのベースはほぼすべて、David Paton。アラン・パーソンズ・プロジェクトやキャメル、パイロットで弾いた、彼だ。
こう書くとカッコいいが「元ベイ・シティ・ローラーズ」だと、とたんに「元グッバイ」みたいな感じになってしまう。

[Discography]
THE KICK INSIDE(天使と小悪魔)(1978年)
LIONHEART(ライオンハート)(1978年)
NEVER FOR EVER(魔物語)(1980年)
THE DREAMING(ドリーミング)(1982年)
HOUNDS OF LOVE(愛のかたち)(1985年)
THE WHOLE STORY(ケイト・ブッシュ・ストーリー) - ベストアルバム
THE SENSUAL WORLD(センシュアル・ワールド)(1989年)
THIS WOMAN'S WORKS(ディス・ウーマンズ・ワークス) - ベストアルバム(1990年)(8枚組)
THE RED SHOES(レッド・シューズ)(1993年)
AERIAL(エアリアル)(2005年)(2枚組)
DIRECTOR'S CUT(ディレクターズ・カット)(2011年)
50 Words For Snow(雪のための50の言葉)(2011年)

PEACHES & HERB"REMEMBER"

今日は暑かった・・・昼間、外を歩いてたら、あっという間に汗まみれ。日陰が欲しい。冷房まみれの地下通路が欲しい。

移動中に聴いてたのが、こないだ買ったPEACHES & HERB"REMEMBER"(1983)。

最初はダサいと思ったが、聴いてるうちにアチコチから気持ちいいアレンジや曲調が色々と詰まってることに気が付いた。簡単に言うと、時代ゆえのシンセ・ベースがサウンドの経年劣化を起こしてる。

だがシンセをブラス風に使いこなすアレンジのセンスが、まずカッコいい。アナログのリズムとシンセの溶かし方が上手い。バラードの暖かさは時代を超えて穏やかになる。
転調や場面転換の色合いも良い。キャッチーなリフやサビを思い切り強調しつつ、平歌や構成のそこここで粋な遊びやひねりを詰めた。

流行の先端追ったビリビリに緊張とは少々違う、寛ぎとグルーヴが、じわじわくる良さだった。
もっと詳しく感想書きたいが・・・今は暑い。眠い。機会をまた、改めてということで。

PEACHES & HERBはこれまで聴いたことなかった。プロフィールのWikiはこちら。
本盤の日本語解説はこちら。http://diskunion.net/black/ct/detail/54C130426004

作曲者は以下を参照。CDブックレットにミュージシャンやアレンジャーが記載されてない。ちぇ。ギターとアレンジャーが誰か知りたいぞ。

本盤に収録曲のYoutubeも何曲か貼っておく。

・・・と、ここまで書いた後に彼らのキャリアを検索してて、気が付いた。
何をボケてたんだ俺は。"Love is Strange"(1967)のPeaches & Herbか。超ベテランじゃん。83年当時、ヒットして無かったんだなあ、かれらは。