The Elvis Brothers

93年に吉祥寺のレコファンで何となく買ったCD"Now Dig This"。ふと思い出して、経歴を検索してみた。
今の人は分かるまい。当時はネットなんて無く、情報はラジオか雑誌かレコード屋しかなかったものよ。

Wikiによると解散済。ドラマーがロマンティクスで叩いてるそう。

【Discography】
"Movin'Up"(1983)
"ADVENTURE TIME"(1985)
"NOW DIG THIS"(1992)

たぶんこの3枚のみで解散。イリノイ州出身でメジャーから初期2枚をリリース。2ndはエイドリアン・ブリューがプロデュースだそう。ぼくは双方聴いたこと無し。パワーポップにロカビリー風味を足したのが持ち味で、3rdでの瑞々しいメロディにワクワク来た。
当時は新人バンドと思ってたが、最後の一花だったとは。

Youtubeにしっかり映像あり。まず、1st時代のPVから"Fire In The City"
初めて聴いた。スピード感あるがパンクやサイコビリーと一線引いた、野暮ったい若さが味か。

3rdの頃。95年ライブ映像より、"Ruthy Ann/Let's Stick Together"。
この"Ruthy Ann"がかっこよくて惹かれた。スピーディとハーモニーがぴったりでさ。エルヴィスと言うより、ビートルズ(特にポール)の影響を強く感じた。
検索してたら来日公演のレビューまであった・・。知らなかった。
ttp://www.asahi-net.or.jp/~aw5m-wtnb/e-bros2.htm

3rdからもう一曲。"Strangelove"。ビートルズに加え、英国ポップな甘酸っぱさも足された。

あと、3rdではこの曲も好きだった。"Valentine"。ニューウェーブ経由かな。

ハンディDJ

カット・ケミストとヌ・マークのDJセッション。
ギター型のDJキットってあるんだ。40秒あたりからスクラッチ(?)で"Smoke on the water"を奏でる。

映像は6/13-15にポーランドはワルシャワで開かれたOrange Warsaw Festival 2014より。ジュラシック5は6/15に出演した。
こっちは今年、ノルウェーでの公演より。ぐらぐらな映像だけど、臨場感は凄い。

ちょうど今日、通勤中にジュラシック5の"Quality Control"(2000)を聴いてたところ。カット・ケミストの趣味なんだろうな。スカっぽいバックビート効かせたリズムにワクワク。ほんのりレトロでこじんまり。それでいて、生き生きしてる。
たまたま見つけた、こちらのライブ映像でも5分前後のところで似たようなビートを提示した。12年ブラジルはサンパウロでのソロ公演より。

しかしこの映像は約45分。長い・・。プロショットのマルチカメラで画面は小刻みに変わるし、素早いフェーダー操作も見られるが。さすがに途中で飽きる。BGMには良いが。
踊るでもなく、じっとカット・ケミストを見る観客がいるあたり、ライブっぽいなあ。

サウンド自体はかっこいい。スタート&ストップを織り込み、小気味よいヒップホップを聴かせる。ハウス皿の長回しと違うスピーディーさだ。皿ネタよりDJスキルへ重心置いて、高速スクラッチがとめどない。
かなり、流れは練られてる。本映像の26分辺りには、ここでも"Smoke on the water"を披露した。

ぼくはジュラシック5って、完全に後追い。リアルタイムで聴くべきであった。かっこいいなー。

灰野敬二+太田惠資 DUO 2009

何か知らんが、最近に再アップされていた。ついこないだ、スーデラで共演ライブやったせいかな。
映像3本併せて30分あまり。いまだかつて音盤化されたことが無く、過去の共演も10回に満たぬ程度しかない、はず。

非常にレアながら、とてつもなく美しい強固な即興。
即興巧者ふたりによる、暗黒インプロの断片が楽しめる。聴き逃すな。





ランダム再生の混沌

PCオーディオならではの再生術、その(1)。「各種の弦楽四重奏ランダム再生」。
たいがいの弦カルは楽章ごとにトラックが切られてる。ずらっとランダム再生すると、作曲家も楽曲順も滅茶苦茶に並んでく。ためしに聴いてたら、シュールさが気色悪くて面白い

そもそも作曲家は四楽章で一つの世界を意識し作曲した。これが順序もバラバラに飛び交うと、数分間の小宇宙が断章群で流れていく。一つの楽章は整ってる。だが次の瞬間、時代も世界も脈絡も無く、飛んでいく。諸行無常な美しさ。

こんな面倒な聴き方は、リッピングしたPCオーディオならではの愉しみ。
CDやLPだとやってられない。仮に山盛りCDを積んで、楽章ごとに手作業で切り替えても、盤選択の段階で恣意の順列組合せはありえない。「やっぱ、もう一楽章聴こう」「この次なら、これかな?」とか。

だがPCランダム再生は無常だ。盛り上がったところで次のトラックへ無作為に飛ぶ。このサイコロ運命な冷徹さが、奇妙なスリルを作った。

今のBGM:ハイドン:弦楽四重奏曲第77番ハ長調「皇帝」、第二楽章(作曲:1797年)
詳しい楽曲の解説は、Wikiをご参照ください。
奏者はQuartetto Italiano。ベートーベンの弦カル16番1楽章からスイっと飛んできた。ダイナミズムからクールなロマンティシズムへ。クラシックの詳しいことは知らないが、この楽章は第一バイオリンの高音域メロディを第二バイオリンとチェロが、まとわりつくように支えた。
それでいて、どっか冷めている。穏やかに、静かに。旋律がふわふわと流れた。美しさがにじり寄る。

あ。今、楽曲が変わった。次はショスタコの9番、5楽章。演奏はブロドスキー・カルテット。正確冷徹な演奏がスリルを高める。流れが脈絡無くて、居心地が悪い。もぞもぞする。変なノイズ・コラージュみたい

口内炎

唇の先に出来て、痛え。ちょうど今はピークを過ぎ、治りかけてる過程と思う。毎日のように痛みが増してきたけれど、ピークは越えてるはず。きっとそのはず。
湿らせるのと、乾燥させるのと、どっちがいいのやら。とりあえず起きてるときは、無意識に舐めちゃってる。

ということで、ふと聴きたくなった一枚。じっくり感想も考えてみた。

<今のBGM>"Enigmata"John Zorn(2011)
本アルバムはとっつきの悪い、スルメな音楽。12曲で44分ほどの作品だ。
TZADIKより11年7月に発表された。録音は10年3月と11年3月に実施。
ギターとベースのデュオだが、一本調子の音色と構造の読みづらさ、不協和音を狙い親しみやすさをシャットアウトした。クリムゾン好きのプログレ文脈なら、すんなり聴けるかも。
TAZIKのキャッチフレーズは「ビーフハート meets シェーンベルク」

本盤は2010年秋から現在まで毎月のようにリリースが続く、膨大なソロ作品の一部だ。
ジョン・ゾーンはMASADAを筆頭にしたライブでのダイナミズムから、明確に構成した作曲家へと立ち位置の主軸を数年かけてジワッとずらしてる。アルバム・タイトルは"Enigma"の複数形で、語義では"謎"。だがジョン・ゾーンの事だから、ナチスのローター式暗号機から取ったか。

ぱっと聴いて、どう味わうか戸惑う一枚。
音色こそ激しく歪ませてもディレイやリバーブの飛び道具は希薄で、音程の流れは明確なマーク・リボーのエレキ・ギター。高音域も積極的に当てていく、芯の野太いトレバー・ダンのエレキ・ベース。
テクニシャンの二人が演奏する本盤は、かなり楽譜要素が高い。ひょっとしたら即興じゃ無いかも。

ジョン・ゾーンらしく、断片を脈絡無しに積み上げる。だが他作品ほどスピード感が無い。疾走をあえて抑えたか。フレーズの繰り返しも多く、この二人のテクニックならテンポはもっと上がるはず。意識的なミドル・テンポの配分と思う。
次々に提示される短いパターンや旋律を、希薄なストーリー性で流してく楽曲群のスピードは、むしろ遅めだ。ジョン・ゾーンにしては、異様なほどに。

スタート&ストップも揃う。全休符のタイミングが二人とも零れないあたり、いかにも譜面っぽい。面白いのは急停止にも、スポーティな爽快さを感じさせぬところ。ダイナミズムを狙うなら、盛り上がりやフレーズの急峻な切り落としで休符、のアレンジもある。むしろゾーンの他作品は、強烈なブレーキっぷりも味だった。
だが本作は違う。のっそりと恐竜が動いては休むがごとく、じわっとフレーズが止まり、すぐに二人が揃って動き出す。

二人はユニゾンを注意深く避けた。時たま譜割やフレーズの前後で合わす程度。互いにカウンターを当てて産む和音は、強靭ながら不安定な響きを提示する。
ちなみに小節線も良くわからない。ミニマルな場面でも拍子は読みづらく、変拍子びしばし?だが縦の線に無秩序さは全くない。楽曲により、うっすらとカントリーっぽい音使いも。音色の歪みっぷりはさておいて

このパターンがアルバム全編を貫いた。いくぶんスピーディで、コードをかきむしる(7)から、一転して唯一ブライトな音色でスリリングに迫る(8)。対比的なギターが味わえる、この場面がお薦め
特に(8)は歪まぬ音色でミニマルな展開をきっちり持続した。無秩序とは逆ベクトル。本盤が作曲性を、わかりやすく象徴する重要な一曲だ。

とはいえ基本的にはどの曲もぱっと聴いただけでは、各曲の切れ目すら判然としない。12曲のトラック切りも必然性から、まず想像する羽目になる。数学的な複雑さをあえて狙い、コンセプト先行で聴きやすさを切り捨てる。いわば異物さを前面に出す、いかにもジョン・ゾーンらしい一枚。

相反する魅力を備えた盤だ。
彼のキャリアを代表する楽曲、とは言わない。だが聴き捨てるには惜しい一枚。もっとも繰り返し聴くことを薦めにくい。でも聴きこむと、強烈な味わいが滲みでる気もする。
ということで「とっつきの悪い、スルメな音楽」とまとめる。